社内研修を行いたいが、何から始めてよいかわからず準備が進まないというお悩みはよく聞かれます。また、事業の拡大や社内の状況変化にともなって、現状の社内研修に新たな課題が浮上してくることもあるでしょう。
社内研修は、社員の業務や行動に一貫性を持たせるために重要な取り組みです。業務内容を覚えてもらうだけでなく、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルなどを一定のレベルに揃えるためにも必要です。その成果は自社ビジネスの品質を高め、企業ブランディングにもつながります。
そこで今、社員研修に動画を活用する企業が増加中です。動画を活用することで、コミュニケーションの円滑化や社員のモチベーション向上、離職防止や業績向上など研修の効果が強化されることが期待できます。
この記事では、動画活用のメリットや動画活用に適した研修分野、実際の制作でのポイントについて解説しています。動画研修を検討されている方は、導入の前にぜひご一読ください。
社内研修に動画を用いるメリット
社内研修に動画を導入することは、企業と社員の両者にとって多くのメリットがあります。
2020年以降、多くの企業がリモートワークを導入してきました。社内研修では、業務の内容から取り組み姿勢、行動模範といった広範囲におよぶ「仕事のあり方」を伝える必要があります。対面での研修でないと伝えづらいことも、動画を用いることで離れた拠点の社員にもわかりやすく伝えることができます。
まずは社内研修に動画を活用すると、どのようなメリットが得られるのかを整理してみましょう。
研修品質のクオリティを均質化できる
動画を用いた社内研修は、研修の品質を均質化することができます。
これまでの対面研修では、講師が変わることで研修の内容にばらつきが出ることがありました。教育者のスキルや理解度によって、伝えられる内容が変わってしまうのはよくあることです。また、突発的なトラブルが研修の進みや参加者の理解度に影響してしまうこともあります。
しかし、動画を使った社内研修の場合、毎回同じ教材を使用するため研修の品質を均一化できるようになります。高品質な研修動画を一度作成してしまえば、あとはそれを流用するだけなので、研修にかかるコストも抑えられます。
ただし、対面研修には、参加者のレベルに合わせて進行できる、参加者の理解度を図りながら双方向なコミュニケーションをとれるなどの利点もあります。動画研修の場合は、参加者の理解や進捗を確認する機会を設けてコミュニケーションをとっていくことで補完できます。
講師の教え方や内容、環境などの要因に左右されにくいのは、動画研修の大きな利点といえるでしょう。
時間や場所を選ばず参加できる
動画を活用した社内研修は、時間と場所を選ばずに参加できます。
会場に集まって行う従来の研修では、特定の時間と場所に合わせて行動する必要がありました。多忙な人や急な業務対応が必要な人は参加できなかったり、途中で離席しなければならなかったりするケースもあったでしょう。時間や場所の制約があることにより、教育者として重要なポストにある人が参加しにくいという状況もありました。
その点、動画研修なら時間や場所の問題をクリアできます。参加する人は自分のペースで学ぶことができ、夜間でも研修を受けられます。学習の途中で一時停止し、後で再開することも可能です。
さらに、地方勤務で会場での研修に参加しにくい人も、動画研修であれば均等な機会を得られます。開催する企業側も参加者も、誰もがそれぞれの都合に合わせて参加できるようになります。
印象に残りやすく高い研修効果が期待できる
動画を使った社内研修は、印象に残りやすく、高い研修効果が期待できます。
第一に、動画は身振り手振りや表情、声のトーンなどの非言語情報を使って表現できるため、文字だけでは伝えづらい内容も分かりやすく届けられます。
また、動画を活用した研修は、テキストを使う研修と比べて情報が記憶に残りやすいという特徴もあります。アメリカ国立訓練研究所が発表した研究結果によれば、視聴覚に訴えかける学習方法は、資料を読んだり話を聞いたりする学習方法の2倍の学習定着率になるといわれているのです。
動画研修のプログラムに、視聴者が自ら取り組むワークを入れたり、出演者が実演して見せるデモンストレーションを取り入れたりすれば、さらに定着率は高められます。
また対面研修では、理解しきれなかった部分を聞き返せなかったり、集中力が途切れてしまったりすることがあります。
その点、動画は難しい部分を何度も見返したり、必要に応じて一時停止して考える時間を取ることも可能です。個々のペースに合わせた柔軟な学習ができることで、内容がしっかり身につくのも動画研修の大きなメリットでしょう。
社内研修動画の種類
メリットの多い動画研修ですが、研修の種類や分野によって適性が異なります。なかには動画が合わないケースもあるでしょう。写真やレイアウト、図面などを何度も見返しながら行うような業務では、動画のように流れていってしまうメディアだと逆に不便です。
では、どのような研修において動画が有効なのでしょうか。動画研修が適しているのは、以下の4つのケースです。
講師による研修動画
講師が解説や話をする形式の研修は、動画研修にとても適しています。講師がテーマに基づいて解説し、セミナーのような形式で参加者に知識を提供する動画です。新人研修やマナー研修など、基礎的な内容を伝える研修では動画がよく使われます。
新たに収録するだけでなく、過去の研修やセミナー映像を活用することも可能です。社外からの講師を招いた研修動画や、スキルアップ研修、マネジメントや最新技術の研修など、さまざまな社内研修に適しています。
講師による研修動画は、ダラダラと長い話を聞くだけにならないよう注意する必要があります。研修の目的や対象者を明確にして動画の尺を決めましょう。1つの動画は10分以内が望ましいとされています。内容が多い場合は複数の動画に分けるなどの方法もあります。
また、研修動画にインタラクティブな要素を取り入れましょう。クイズ形式にしたり、ワークやロールプレイングを入れたりする工夫によって、学習効果を高めることができます。
マニュアル動画
マニュアル動画は、業務の手順やスキル、ノウハウなどを動画で伝えるものです。マニュアルを動画化することで教育にかかる時間的コストを削減できたり、視聴者の理解度や記憶力を高めたりする効果が期待できます。
- 飲食店の人気商品のレシピ手順を動画共有する
- 店舗の開店や閉店準備、入金作業といった各手順を動画化する
- PCツールの作業手順を録画して教材化する
このように、流れや手順などは文字で書き記すよりも動画を見せたほうが覚えやすく、理解のスピードも格段に上がります。
マニュアル動画は操作的な内容が多いですが、なかには優秀な社員の接客シーンを収録・編集して社員に共有するケースなどもあり、業種によって内容は多様です。
マニュアル動画は、社員がそれぞれ必要な箇所をすぐに見れるように、キャプチャーを設定したり、1本の尺を短くしたりして、使い勝手のよさを優先させましょう。10分以上説明が続く場合は、紙の資料と併用するなど、工夫が必要なケースもあります。
新人研修動画
新人研修動画は、自社で必要なスキルやノウハウを新入社員に伝えるための動画です。新人研修では、ビジネスマナーやコミュニケーションスキル、業務の手順やノウハウなど、非常に広範囲の内容を伝える必要があります。新人研修にも動画を取り入れることで、教育にかかるコストや時間を削減できたり、視聴者の理解度や記憶力を高めたりする効果が期待できます。
新入社員に、必ず覚えてほしいビジネスマナーやコンプライアンスを動画化するケースが多いです。また、業務で必要なコミュニケーションやソーシャルスキルトレーニングなどを動画として提供するのもよいでしょう。
新人研修動画は、覚えることも多く、教育的な内容が多いため、視聴者の興味や関心をしっかり惹きつける必要があります。ケースドラマやアニメーションなどを用いて、社会人としての考え方や行動を学べるような工夫が必要です。
経営層からのメッセ―ジ(トップメッセージ)
経営者からの動画メッセージは、経営者が自身の想いやビジョン、企業の状況などを映像で直接伝えるものです。企業の理念やビジョンは、文面で読むより、経営者の表情や雰囲気など、非言語的な情報を使うことで共感を得やすくなります。
経営者が社員と話す機会はそう多くありません。多忙なスケジュールのなかで全社員と顔を合わせるのは難しいことが多いです。
その点動画であれば、社長自らの言葉を収録してメール配信したり、Web社内報に経営トップからのメッセージを添えたりすることができます。会社の創業や事業成長の過程を社史として動画に収めるのも効果的です。社員に会社のことを深く知ってもらったり、感情的な結びつきを感じてもらうことで、仕事への姿勢やモチベーションを向上させることができます。
メッセージ動画は、1~3分程度の短時間が理想です。社史や企業紹介などの場合でも、5分以内を目安に制作しましょう。短いメッセージ動画であっても、企画や台本の作成といった事前準備を行ってください。社長やトップ層の自然な姿を見せたいという気持ちから、アドリブで撮影してしまうこともあります。しかし、事前準備なしで撮影すると内容がブレたり、話が脱線してしまったりするため注意が必要です。
研修動画の作成で大変なこととは?
社内研修で動画を活用するメリットや方法について説明してきましたが、一方で動画制作のハードルはまだ高く、手を出したくてもなかなか簡単には実現できない現状があります。
ここからは、研修動画の制作にあたってネックとなりやすい部分について確認していきましょう。
動画作成にはスキルが必要で初心者には難しい
動画制作には編集、撮影、企画・構成、予算・スケジュール管理など幅広いスキルが求められます。
撮影ではカメラや照明の知識と技術が必要です。編集ではソフトの使い方といった技術を学ぶ必要があります。
また、メッセージやストーリーを考えるための企画・構成スキルや、プロジェクト全体を管理するマネジメントスキルも不可欠です。
これらのスキルを習得するには時間がかかります。また撮影機材や編集機材を使用するのには多くの費用もかかります。
一定のクオリティで動画を制作するにはそれなりのスキルが必要で、予算・スケジュールを管理するための人材も必要となるため、動画制作に踏み切れないといったケースは少なくありません。
企画~台本作成~撮影〜編集と工数が多く時間がかかる
動画制作には多くの工程があり、企画から編集までのプロセスには時間がかかります。
企画段階では、目的設定、ターゲット層の特定、コンセプト策定などを行い、その後、台本などの作成が続きます。
香盤表(撮影日のスケジュール)に沿って映像と音声を撮影・収録し、動画編集、カラコレ(色調整)、テロップやエフェクトの追加、ナレーションや音楽などの音の編集が行われます。完成試写を行ったあとは掲載や配信を行います。
質の高い視聴者の興味を惹きつける動画の完成までにはたくさんの工程が必要です。知識不足による時間の浪費も起こり得ますし、著作権などがクリアな状態であるかも大切なことです。正確な知識とスキルを持って取り組む必要があるため、社内リソースだけで動画を制作することは難しい場合があります。
動画制作の経験者がいない中で自社完結するのは難しい
動画制作の経験者がいない場合、社内で動画制作を完結させるのは難しいでしょう。
撮影機材や編集ソフトを購入しても知識や経験がないまま制作を進めては、クオリティの高い動画には仕上がりません。企画や編集の技術がないと、重要なメッセージが伝わりにくくなってしまいます。
ディレクター、カメラマン、照明、エディターなど映像制作のスタッフは長年の経験に裏付けされた、人を惹きつける映像を作る技術を持っています。
また、映像制作に多くの時間と労力を費やすことになり、本来の業務に影響を与える場合もあります。重要なのは動画を作ることではなく、社員に必要な情報やメッセージを届けたり、効率よく教育ができたりする「結果」なのです。
そのため社内研修動画は、専門の制作会社に依頼するのが最良です。ただし、単純に動画制作を代行してもらえばよいというわけではありません。自社の課題や、伝えたいメッセージをしっかり理解してくれるパートナーを見つける必要があります。
シースリーフィルムの社内研修×動画について
動画による社内研修の導入を検討している場合は、シースリーフィルムにお任せください。
シースリーフィルムは、1991年の創業以来、テレビCM制作を中心に多くの媒体で映像作品を手がけてきました。広告動画制作を主軸として、社内研修や教育を目的とした動画制作も行っています。心に響くストーリーテリングや映像編集のテクニックを駆使し、社員が情報を理解しやすく、深く吸収できる動画を制作いたします。
また、シースリーフィルムでは、企業の目線に立ち、社内外のコミュニケーション戦略を一緒に考える伴走型のサービスも提供しています。制作代行ではなく、課題整理や運用アドバイスなど、企業におけるコミュニケーション施策をトータルにサポートいたします。
動画は、情報を伝える手段としてますます重要性を増しており、社内教育や研修に活用しない手はありません。社員が意欲的に学べる、魅力的な研修動画を制作いたしますので、お困りの方はお気軽にご相談ください。
SDGsや社内広報、インナーブランディングについて情報収集、ご検討されている方はぜひご相談ください。
動画制作に関するご相談だけでなく、課題整理から運用アドバイスまで社内広報に関して幅広くサポートいたします。
大切な想いが届く動画を、心を込めて制作いたします。