企業内で社員に対して理念の浸透(ブランディング)をおこなう活動をインナーブランディングといいます。絶え間なく激しい変化が続き、先の読めない時代に突入した現代においては、企業の生き残りはますます困難を極めるものになります。時代の変化に対応できるかどうかは組織全体で共有された理念をもち、一人ひとりが現場を正しく動かして時代の流れに乗っていくことが重要といえます。
これまでの時代では、経営者の考えを社員が従順に遂行することが正しいとされてきました。ただ、今までにない大きな変化が続く世の中においては、社員一人ひとりが企業の目指す姿を深く理解し、理念に基づいた行動を起こしていくことが求められます。
社員全体が組織を理解して企業の組織力を上げ、社員の企業に対する貢献意欲を育て、変化への適応力を高めるインナーブランディングの重要性はますます高まりつつあります。この記事ではインナーブランディングを成功に導く具体的な方法と思考をお伝えします。
インナーブランディングをおこなう意義
インナーブランディングとは、企業に所属する従業員に対して企業の価値や事業・活動内容、あるいは将来の目指す姿を伝えるための社内におけるブランディングを指します。社員は活動を通して自分自身の業務内容の目的や意義、今の環境において社員の立場でどう振舞うべきかを企業目線で判断することに繋がります。経営層の判断を待たなくとも従業員が自発的にスピーディに判断を行うことで、企業全体の組織力や信頼性につながります。
インナーブランディングが求められる背景
多くの人が名前を知るような規模が大きく歴史のあるような会社でも、経営危機や倒産、あるいは買収などが珍しくなくなり、あらゆる業界において変化の波は押し寄せているといえるでしょう。そういった潮流においては企業内での決定事項のスピード感が大切です。インナーブランディングを行うことによって社員一人ひとりが企業目線を持って適切な判断を行えることが必要です。
また、様々な背景を持つ人それぞれの能力を活かして組織を成長させるダイバーシティの観点においても、理念を共有することは人材開発時に企業の価値を理解してもらうことにもつながるのです。
インナーブランディングで目指す組織像
インナーブランディングに成功した企業は、社員一人ひとりが企業に対する信頼意識を持ち、それぞれの能力を発揮することに高い意欲を持ち、企業として高い組織力と信頼を集めることができます。
インナーブランディングにおいて目標とすべきことはパーパス経営です。。パーパス経営とは、企業として社会にどのような貢献をしていくのかを企業理念や存在意義として明確にし、発信していく経営の在り方です。インナーブランディングの実施をするにあたって、企業の目指す姿としての一つの参考にするとよいでしょう。
インナーブランディングを実行するときの目標設定
インナーブランディングの目的は企業理念が社内に浸透することにありますが、これは可視化が難しく施策そのものの効果測定が曖昧になりがちです。ここではその目標設定の方法と思考を紹介します。
目標設定1:企業理念を「知っている」から「理解している」に変える
多くの企業は企業理念を定めており、会社のホームページや場合によっては社内に掲示している場合もあります。それを毎日のように目にする社員も、自社の企業理念そのものを知っていることも多いかもしれません。ただ、インナーブランディングにおいて重要なことは理念を知っていることではなくそれが社員一人ひとりの日々の業務に活かされ、判断基準となっていることです。企業理念が他人事ではなく、あくまでも自分ごととして日々の行動の指針となっているかどうかが、インナーブランディングの効果を図るための要素となります。
目標設定2:モチベーション向上させる
インナーブランディングは経営層やインナーブランディング担当者だけのものではありません。社員が企業理念を深く理解し、日々の業務に活かし、企業の魅力を社外にアピールしたいと思うくらいにまで意欲を引き出さなければなりません。社員一人ひとりが、高いモチベーションと当事者意識を持っているかどうかが重要なポイントとなります。
目標設定3:社内のコミュニケーションを促進する
多くの社員にとって企業内で、業務上日々起こるコミュニケーションは上司や経営層からの一方的なものであったり、コミュニケーションをとる人もごく限られた範囲になります。企業理念を浸透させる活動であるインナーブランディングも、経営層からの一方的な発信だけでは押しつけがましさを感じさせる可能性があります。企業理念をどのように捉えるかを社員同士で話し合うことでより当事者意識を持ってもらうなど、社内のコミュニケーションを活発に広く行ってもらうことが、インナーブランディングの推進にあたって意識すべき点の一つです。
目標設定に合わせた有効な方法
インナーブランディング実行における目標設定の思考を紹介しましたが、それぞれの目標を達成するにあたって適する方法は様々です。ここからは、それぞれの目標に対する具体的な方法をご紹介していきます。
企業理念を「知っている」から「理解している」に変える方法
企業理念に対して理解を深め、日々の従業員の業務に活かしてもらうにあたって有効な方法として、スローガン、クレド、ワークショップの3つをご紹介します。
スローガンとは、団体の主張や目的、あるいは思想を分かりやすく標語にしたものです。企業においては、自社の役割や将来像を社員や社会に伝える役割を持ちます。スローガンが定まっていれば、社員も日々どのような基準で業務を行うべきかがはっきりと分かりやすくなります。またスローガンは取引先の目にもつきやすく、その内容と一貫した行動を社員がとっていれば信頼にもつながります。
クレドは、企業の目指す姿を文章として個人の行動レベルに落とし込み設定したものになります。スローガンよりも長く理解が深まりやすいクレドは、カードにして携行させることによって社員の教育やコンプライアンス遵守、あるいはエンゲージメントの向上にもつながります。
クレドの参考記事はこちら:https://c3film.co.jp/brandedvideonews/innerbranding_credo/
ワークショップもインナーブランディングの施策として代表的なものの一つです。インナーブランディングの成功のカギは社員が当事者意識を持って自社の経営理念に向き合えるかどうかにかかっています。ワークショップのように社員が主体的に動き、自分の考えを伝える機会をつくることができれば、他の社員とともに理解を深め「わかったつもり」や他人事の印象を払拭することができます。
モチベーション向上させる方法
インナーブランディング成功における重要な2つ目の要素がモチベーション向上ですが、そのための施策としては社内イベントと表彰制度があげられます。
社内イベントは、忘年会や新年会をイメージする方も多いかもしれませんが、社内旅行や演奏会など、企業から離れて規模の大きなイベントを行う場合もあります。自由な働き方が普及しつつある今、社内で顔を合わせて会話する機会が減っています。また、業務で関わる人間関係は限られたものです。その環境の中で改めて社内の関係を円滑にし、より大きな事業の改善につながることも期待できるほか、愛社心を育てることにもつながります。
表彰制度も、従業員のエンゲージメントを上げる施策として有名ですが、インナーブランディングにおいても企業が求める行動が分かりやすくなるほか、表彰によって「報われた」という感覚によって離職率を低下させる効果も期待できます。
社内のコミュニケーションを促進する方法
企業理念や企業活動に関するコミュニケーションが社内に活発に起こることで、インナーブランディングは円滑に進みます。そのための手段として挙げられるのが社内報、社内掲示板、1on1ミーティングです。
社内報や社内掲示板は、企業活動や経営層のメッセージを社員に伝えることができる有効なツールの一つです。近年ではWeb社内報が普及しているので配布にかかるコストや時間も限定的で、社員からの声を発信しやすいのもメリットの一つです。また、社員の活動を紹介することによって社員同士の会話が活発になることも期待できるでしょう。
1on1ミーティングも社員が自身の考えを伝える貴重な機会であるほか、企業の在り方や今後の将来像について経営層の考え方を間接的に知ることができる機会でもあります。あくまでも双方向のコミュニケーションであることを念頭に置きながらも企業に対する考えを共有する機会として活用してみてください。
どの方法にも高い効果が期待できる方法
ここまではインナーブランディングの目標と、それぞれに有効な方法についてお伝えしてきましたが、それらのいずれにも有効な方法が「動画」です。動画は様々なSNSで利用されますが、要点を押さえることでインナーブランディングに非常に有効な方法となります。
どんなシチュエーションでも動画は有効
インナーブランディングは企業理念を理解してもらうことが目的ですが、企業理念の文字を見てもイメージがわかない場合もあります。動画は音声や映像によってイメージを思い通りに伝えることができれば、社員がより正しく内容を理解します。
社内報の中の一つのコンテンツとして、あるいは社内イベントやワークショップの中で従業員に理念を理解してもらう機会を設ける際に用いるなど動画はインナーブランディングを強く支えるツールとなります。
動画の効果の高さとは
特にインナーブランディングにおいて動画を使用することのメリットは、熱量を伝えやすいことにあります。
また、時間をかけずに情報を多く伝えることができる点も動画の強みです。企業理念に込められた思いはたくさんあるものですが、それを飽きさせず従業員に伝えるためには、動画が効果が高い手段なのです。
高い効果を求めるにはクオリティーも必要
SNSで気軽に動画を投稿することができるようになり、動画を見る機会はあふれかえっています。そういった環境の中で社員が企業の作成したインナーブランディング動画に目を向け、理解し、行動を変えてもらうためにはそれだけ高いクオリティで印象に残る動画を作成する必要があります。
一般の方でも動画編集できる時代においてこそ、「そこそこ」のクオリティではなく「感情移入できる」レベルで企業に対する理解を深めてもらえるような動画を作れるかどうかが、インナーブランディングが成功するかどうかの分かれ目ともなります。
「感情移入できる」ほどクオリティの高い動画作成は自社での作成は困難ですが、プロに動画制作を依頼すれば、専門的な知識が必要な撮影や編集の準備も全て任せることができます。中には広告映像で実績のある業者もあります。課題整理から動画制作までワンストップで対応できる業者をぜひ選んでみてください。
インナーブランディングを検討される方へ
インナーブランディングはあらゆる企業にとって欠かせない活動となっています。従業員が企業の将来や判断基準を日々の業務に落とし込めているかどうかによって業務の質やスピード感も大きく変わります。
ただ、インナーブランディングは長期にわたる活動であり、一定の投資も必要となる活動ですから、やるからには必ず成功させたいものです。インナーブランディングの施策は自社で行うことも可能ですが、難しい部分はインナーブランディングに強い企業に相談してみるのもおすすめです。 コンサルが得意、イベントに強いなど、企業ごとに強みがあるので、課題やステージに合わせて相談先を選定すると良いでしょう。
シースリーフィルムは、テレビCM制作を核として培ってきたアイデアやクリエイティブの力を応用し、インナーブランディングを目的とした映像やデジタル施作などにも取り組んでいます。 社員へのコミュニケーションに映像を用いることで、エンゲージメントを高める効果が期待できます。 課題整理からコンテンツ制作までワンストップでサポートいたしますので、ぜひご相談ください。