- インナーブランディングって、本当に効果出るんだろうか?
- 自社が取り組むべきなのかわからない…
- コストやリソースのことを思うと、なかなか踏み切れない
- そもそもインナーブランディングの効果は測れるの?
インナーブランディングへの注目が集まるなか、このような不安によって施策実行を決断しにくいと感じていませんか?
現代の日本企業にとって、インナーブランディングは、将来的な業績アップや競争への優位性などプラスの効果が期待できます。必要性に気づいていない企業や、効果に対して疑念を抱いている企業も多いのが現状です。なるべく早期に着手すれば「勝てる企業」として力をつけていくことになるでしょう。
ただ、企業理念への共感度は目に見えないため、効果への信憑性や測定の仕方がピンとこないかもしれません。
そこでこの記事では、インナーブランディングの効果や、実際の効果測定の手法などを詳しく解説します。通して読んでいただくことで、インナーブランディングがどのように効果を発揮するのか、なぜ企業成長につながるのか明確に理解できるはずです。
インナーブランディングとは
インナーブランディングとは、企業の掲げる理念やビジョンなどの価値観を、社員一人ひとりに浸透させるための活動のことです。
ブランディングは、顧客や取引先などに向けたアウターブランディング(エクスターナルブランディング)と、社内向けのインナーブランディングの2種類に分かれます。外部に向けたブランディング活動に関しては、すでに注力している企業も多いでしょう。
しかし業績アップや企業の成長には、まず内部の体制を整えることが必要不可欠。そこで近年、インナーブランディングの考え方に注目する企業が増加しています。
本記事ではそんなインナーブランディングの効果と、効果測定の重要性をお伝えします。効果測定をすべき理由や実際の手法もまとめていますので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
企業が取り組む目的
インナーブランディングの目的は、社員の意識改革を通じ、企業としての目標達成やブランド力の向上、事業成長を実現させることにあります。
企業を成長させるには、外部に向けたブランディングやマーケティング活動ももちろん重要。しかし外部に向けた活動や業務を実行するのは、会社の中で働く社員です。企業のパワーを底上げするには、社員一人ひとりが高い貢献意欲を持ち、積極的に仕事をしてもらう必要があります。
インナーブランディングによって社員が企業への理解を深め、価値観に共感することができれば、社内の士気はこれまで以上に高まるでしょう。社員全体の仕事に対する考えや行動に一貫性が生まれ、一人ひとりが自発的に+αの行動を取るようになっていくのです。インナーブランディングの効果が十分に発揮できれば、結果的に次のような効果をもたらすことができます。
- 職場の意識改革
- 業務効率化
- 製品やサービスの品質向上
このように、社員一人ひとりが高い貢献意欲をもって業務にあたれば、結果的に企業全体にプラスの循環をもたらします。インナーブランディングは地道な取り組みですが、適切な方法で継続していけば、企業全体の目標達成や成長が見込めるのです。
具体的な手法とは
インナーブランディングには、さまざまな手法やパターンがあります。
- ブランドの歴史や理念伝える動画
- 企業情報を掲載した社員向けサイト
- 愛着感を持たせるための企業ポスター
- 社員アンケートの実施
- 社内イベントの実施
すべての手法に共通するのは「社員間で社内コンテンツの内容を共有できるもの」であること。社員間で共通の話題を作ることやディスカッションの機会を与えるなど、コミュニケーションの題材になるようなものがポイントです。
そのためには、インナーブランディングで取り入れる社内コンテンツを社員に「興味深い」「価値がある」と思ってもらわなければなりません。制作における手間や時間、一定のクオリティとセンスも必要になるため、制作を外部の専門企業に依頼するケースもあります。
どのような手法を取り入れるかは、自社の特色や事業規模、予算や活動に取り組める人出の数などによって変わるでしょう。現状で無理なく取り組めるものを選んでみてください。
インナーブランディングがもたらす効果とは
ここまではインナーブランディングの基本をおさらい的にお伝えしてきました。では実際にインナーブランディングに力を入れることで、どのような効果が得られるのでしょうか。
長期的な視野で見ると、業績アップや商品やサービスの品質向上など、企業そのものの規模やパワーを高めることにつながっていくでしょう。しかし、目下の効果としては次の2つが期待できます。
- 社員のモチベーション向上
- 人材の定着率
内部の士気を高め、意識改革を巻き起こすことにより、内部体制を強靭なものに固めていくことができるでしょう。この2つの重要な効果について、さらに詳しく解説していきます。
社員のモチベーション向上につながる
効果的なインナーブランディングができれば、社員のモチベーションが高まります。モチベーションとは、社員が熱心に仕事をするための「動機づけ」です。社員一人ひとりが仕事にやりがいを持ち、積極的に行動してもらうには、この動機づけをしてあげることが重要になります。
モチベーションを向上させる動機づけは、社員が企業や業務に対して興味や関心を持つことから始まると言ってもよいでしょう。興味や関心などの知的好奇心に従った行動は、本人にとって満足感や達成感などをもたらすため、高い意識や行動力が持続しやすいのです。
インナーブランディングによって、社員に自社への興味関心を強めてもらうことができれば、自然と仕事に対する創意工夫や努力が生まれます。「言われたことだけををやる」といった受動的な姿勢に傾く社員を減らし、社員一人当たりの生産性を高めることになります。
従業員満足度の向上によって人材の定着にもつながる
インナーブランディングで従業員満足度を高めることで、人材の定着にもつながります。
従業員満足度は、職場環境や人間関係、給与や福利厚生などさまざまな要素によって測られるもの。従業員満足度の向上は、経営層や人事担当者が取り組むべき重要な課題とされています。
昨今、人材の流動化が進んでいることは周知の事実でしょう。転職が当たり前になり、働き方が多様化している現代では、優秀な人材の確保や社員の離職防止が課題になっている企業も少なくありません。
社員に「この会社でずっと働き続けたい」「この会社でなくてはダメだ」と感じてもらうことができれば、社外への人材流出を防ぐことができます。また、従業員満足度の高い企業では、既存社員からの紹介で新たな応募があるケースも多く、人材の確保も見込めるようになります。
インナーブランディングは人材の定着や採用の効率化など、人事採用の面でもプラスの効果をもたらすと考えられているのです。
インナーブランディングの効果を知るための測定方法とは
ここまでで、インナーブランディングは企業にとって重要な課題を解決する効果があることをご理解いただけたと思います。ただ「企業に興味関心を持ってもらう」「企業価値やビジョンに共感してもらう」という目標はとても抽象的です。何をもって成功とするのか、目標をどのように定めるべきかなど、曖昧な部分も多いでしょう。
- 企業理念がどの程度浸透しているのか
- 社員がどのくらい会社に愛着をもってくれているのか
- 一人ひとりのモチベーションは維持できているか
このような状況を、数値化したり可視化したりして明確に効果を図る方法があります。ここからはインナーブランディングの効果を測るための4つの具体例を紹介しますので、実際の取り組みに落とし込んでみてください。
①従業員向けアンケート
もっとも代表的な効果測定の方法は、従業員アンケートです。見えにくい社員の意識や、業務、労働環境などへの満足度を定量的に測ることができます。
アンケート調査は取り組むハードルも低めの手法です。外部サービスやコンサルタントに依頼せず、自社だけでも実施しやすいでしょう。
実際にアンケートを作成するときは、次のようなポイントをおさえるとより的確な回答を得られます。
- 質問項目は5~10個におさえる
- 5分以内で取り組める内容にする
- 社員が理解しやすい文言を使用する
- 記述式ではなく、選択式の回答方法にする
質問項目が多すぎたり、時間がかかりすぎるとアンケートを提出してもらえなかったり、社員が重荷に感じたりすることもあります。短い時間で負担なく取り組めるアンケート内容を作成するようにしましょう。
また、質問内容がわかりにくい場合、正確な調査結果が得られないというケースもあります。誰にでも伝わりやすい文面で作成することもポイントです。
定量的な統計を取るためには、回答欄を選択式にしましょう。記述式の回答は社員が負担に感じやすいだけでなく、定性的に捉えることしかできないので、効果測定には不向きです。
A~Eの5段階で満足度を評価してもらったり、複数の回答から選んでもらうようにすると数値結果として出しやすくなります。
②グループインタビュー
グループインタビューは、社員から本音を引き出したり、議論をしてもらうことによって企業に対する定性的な評価を得る方法です。5〜6名のグループを作って自由にディスカッションしてもらうことで、通常の業務内では聞けない意見や考えを幅広く抽出することができます。
グループインタビューを行うときに重要なポイントは次のとおりです。
- 特定のディスカッションテーマを用意する
- 目的・フィードバックの道筋などを設計しておく
- 進行役は企業外部の第三者に依頼する
- 新入社員・中堅社員・ベテラン層など階層別でグループを組む
グループインタビューで重要なのは、社員の本音を引き出すこと。形式的なヒアリングで終わってしまうことや、意見や本音を言いにくい状況を作ってしまうことは避けるべきです。
そのためには社内で独自に行うよりも、外部のコンサルタントやリサーチ会社に依頼し、第三者に介入してもらうのがベスト。専門企業へ依頼したほうが、より効果的でムダのないグループディスカッションを行うことができます。
③eNPS
eNPSは、従業員満足度を調査するための方法です。独自の手法によるアンケートで、自社に対する愛着心や信頼度を測ることができます。eNPSでは、愛着や信頼を「自社の製品やサービス、職場環境などを他人に勧めたいかどうか」という視点で評価していくのが特徴です。
eNPSの実際の進め方は次のとおりです。
1)0~10の点数評価のアンケートを実施する
2)批判者・中立者・推奨者の3つにカテゴライズする 3)推奨者の割合から批判者の割合を引いた数値を出す |
【例】推奨者45%、中立者35%、批判者20%だった場合
45%(推奨者)- 20%(批判者)=25(eNPS)
上記の手順で導き出したeNPSの値がプラスになっていれば、満足している社員の方が多い……というように判断できます。従業員満足度の視点に特化し、定量的な数値結果を出せるので、数値目標を掲げて計画的に推進するのに役立つでしょう。
④組織サーベイ
組織サーベイも従業員満足度を調査する手法のひとつです。組織サーベイでは「組織の状態」を把握することができます。アンケート調査を用いて「あるべき姿」と「現状」とのギャップを数値化していくのが特徴です。
組織サーベイで次のような項目を調査したり、抽出したりすることができます。
- 企業理念の浸透度
- 組織の健全性
- 社員のモチベーション
- 社員エンゲージメント
- 業務満足度
- 組織の課題
組織サーベイは調査対象を細かく分けて実施できるのもポイントです。「入社して〇年以内の若手」「高い成果を出している社員」など、目的や課題ごとに応用が効く手法になります。自動化ツールや外部サービスなどを活用することで、経営陣や人事担当者の負担を軽減することもできるので、活用を検討してみてください。
インナーブランディングの効果測定が重要な理由とは
企業内部の意識改革を成功させるには、効果測定の実施と進め方がとても重要です。インナーブランディングは、社員の意識や企業理念への共感など、見えにくい部分にアプローチする取り組み。効果が出ているのかわからないままうやむやになってしまうことも少なくありません。
そのため、効果測定の重要性やその根拠をしっかり理解することが大切です。
- 短期間で成果が出る取り組みではない
- PDCAを回す必要がある
上記2点は、インナーブランディングの前提として必ずおさえておかなければなりません。ここからは、インナーブランディングの効果測定の重要性をさらに詳しく解説します。
①短期間で成果が出るわけではないため
インナーブランディングは、短期間で成果の出る取り組みではありません。長期的に取り組む必要があり、効果測定の結果をもとに年単位で進行するものと考えておきましょう。
長期に渡って継続するためには、インナーブランディングを計画的に進めることも重要です。計画的なインナーブランディングのフローパターンの一例を見てみましょう。
- 現状把握と課題発見
- プロジェクト始動
- 展開・活性化
- 定着化
- 効果測定
- 改善
現状に合わせてプロジェクトの全体像を設計し、社内の一部から社内全体へ、複数の店舗や支店を持つ場合には前者へ展開していきます。また、取り組みを一度きりで終わらせず繰り返し行って定着させることも大切です。
1回の施策で劇的な変化をもたらすことはできないため、プロジェクトの要所で効果測定を行い、定期的に現状を確認しながら着実に進めていきましょう。
②PDCAを回す
インナーブランディングのフローは、半永久的に続けていく必要があるため、PDCAを回していく必要があります。
- 採用した施策は適切だったか
- 社員が施策の意図を理解しているか
- 社員が取り組みに関心を抱いているか
- 価値観の押しつけになっていないか
効果測定を行えば、インナーブランディングについて多角的に評価することができます。測定結果に応じて、施策の内容や方法を変えたり、アップデートしたりすることも大切です。数字ベースの効果測定は「効果があったかどうか」だけでなく新たな課題発見につながります。
企業は、常に変化しているはずです。自社が存続する限り、インナーブランディングに終わりはありません。施策の実施、効果測定、改善を繰り返すことで、整った内部体制を維持していくことも必要になります。
インナーブランディングについてご検討される方へ
インナーブランディングにおける効果測定の重要性と、具体的な手法について詳しく解説してきました。インナーブランディングは企業の成長に欠かせない、重要な活動であることがご理解いただけたのではないでしょうか。
ただその一方で、インナーブランディングの実践や効果測定などには予想以上にリソースが必要になると感じられるかもしれません。すべて自社で賄おうとすると、既存業務に影響が生じたり、担当者の負担が大きくなったりする可能性も否定できません。
インナーブランディングの成功は、外部企業に協力を仰ぐほうが近道となるケースが多くあります。インナーブランディングの導入支援を行う企業と提携することで、効率よく無理のないプロジェクトを遂行できるかもしれません。
コンサルやイベント、アンケートリサーチなど、インナーブランディングにおける得意分野は企業ごとに異なるので、自社の課題やステージに合わせた相談先を選ぶことが大切です。
当社シースリーフィルムでも、企業様を対象としたインナーブランディングの導入支援を行っております。シースリーフィルムでは、テレビCM制作を軸に培ったアイデアとノウハウで、映像制作やデジタル施策のご提案をさせていただきます。課題整理からコンテンツ制作までワンストップでサポートできるケースもございますので、インナーブランディングをご検討中の方は、ぜひ一度お問合せください。