インナーブランディングを推進した先に、どんな未来が待っていると理想的ですか?
インナーブランディングの目的が不明確なまま、闇雲に施策を投じていないでしょうか?
インナーブランディングの効果を最大化するためには、推進する目的を明確に持つことが大切です。目的を明確にすることで、「企業としてあるべき姿・従業員としてあるべき姿」を示すことに繋がっていきます。
本記事では、インナーブランディングを推進するための目的の考え方や、企業や従業員にとってのインナーブランディングの重要性について解説します。
- インナーブランディングの本質
- 企業・従業員にとってのインナーブランディングの重要性
- インナーブランディングを促進している企業の具体的な事例
これらを学ぶことで、自社のインナーブランディング推進のヒントとなるはずです。
是非、参考にしてみてください。
インナーブランディングの本質
ブランディングの本質は、企業や商品の存在価値を明確にすることです。
そしてインナーブランディングの本質とは、その存在価値を自社の従業員に浸透させることで、企業の魅力を更に引き出せること・それが社外にも伝わることにあります。
インナーブランディングを浸透させること自体が大切なのではなく、インナーブランディングを推進した先に「どんな企業を目指していくのか?」が大切です。
「目的」と「目標」の違いを認識しておく
インナーブランディングを推進していくうえで、「目的」と「目標」の違いをしっかり認識しておくことが大切です。
混同されてしまいがちな2つの言葉ですが、違いを認識しておくことで正しい「目的」と「目標」を立てられ、望ましい方向にモノゴトを進めていくことが可能になるのです。
- 目的とは……最終的に到達したい地点や状態
- 目標とは……目的達成に向けて近づいていることを確認するための中間指標
目的とは最終到達点として目指している場所、つまり企業にとっては存在意義そのものといってもいいでしょう。
目標は最終到達点までの道を間違えていないことを確認するための道標になるものです。
例えば、何かの新商品をPRするキャンペーンをおこなうとしたら、目的は「新商品の魅力を多くの顧客に伝えること」などになり、目標は「新商品を1日〇個以上販売する」などになるでしょう。
目標は細かく嚙み砕いて定めた方が、目的の達成がより現実的になるはずです。
上記の例でいうなら、月単位・週単位の目標だけではなく1日単位の目標を定めた方が、目標達成・目的達成のためのアクションを起こしやすくなるでしょう。
インナーブランディングを推進することが目的ではない
「手段が目的化している」という表現を聞いたことはないでしょうか?
インナーブランディングを推進することはあくまでも手段であり、目的ではないということを改めて認識しておきましょう。
インナーブランディングを推進する目的とは、企業の存在価値を従業員に浸透させること自体ではなく、その先の未来にあるはずです。
インナーブランディングを推進させたその先に、どんな未来を実現したいかを明確にすることで、インナーブランディングを推進する目的が見えてくるでしょう。
課題を洗い出し目的を明確に
目的を明確にするためには、まず課題を洗い出しすることが大切です。
課題が不明確なまま何らかの施策を投じても、何のためにそれをやるのかが不透明になるでしょう。課題の洗い出しは、現在目に見えている・肌で感じている課題だけではなく、将来想定される課題も事前に洗いだしておくことで、より明確な目的を設定できるはずです。
例えば、少子化が進んでいる現代では、将来的に人材の確保が少しずつ難しくなっていくことが想定されます。今から、従業員の離職率を下げる対策を行えば、将来の課題に直面した際にも有効なノウハウを得ることができるでしょう。
「従業員の離職率を下げて、人材確保が難しい時代になっても安定した経営をする」という目的が生まれます。そして、「その目的を達成するために〇〇をやる」という手段が生まれるのです。課題が不明確・目的が不明確な状態だと、いつのまにか「〇〇をやる」が目的となってしまい「手段が目的化している」状態に陥ります。
目的を見失わないためには、まずはしっかりと課題を洗いだすことが大切なのです。
企業の推進すべき姿とは
企業の推進すべき姿とは、言い換えると「経営者が実現したい未来」になります。
その目指している未来像を明確に言語化したものが「ビジョン」になるのです。
ビジョンは、企業の存在意義や価値観を表した「企業理念」をより明確に具現化したものだといえます。
ビジョンを従業員と共有することで、自社が目指す未来像を明確にイメージでき、企業全体のモチベーションアップに繋がります。
そしてビジョンを従業員と共有するための手段として有効なものがインナーブランディングです。
変わる勇気・イノベーション
企業がビジョンを実現するために重要なことは、イノベーション体質になることです。
イノベーションとは「新機軸」や「革新」を意味する言葉です。
新たな仕組みや考え方は、新しい価値を生み出すことに繋がります。
移り変わりが激しい時代、そして先行きがみえない時代といわれる現代において、変わる勇気を持って時代に合わせた企業内改革を起こせるイノベーション体質の企業になることが、企業がビジョンを実現するためには必要不可欠なのです。
逆にイノベーションを起こせないということは、現状維持をし続けるということになります。世間が動いている中で、企業が変化を拒み現状維持し続けることは、企業の衰退を意味するといってもいいでしょう。
イノベーション事例
イノベーションを起こした企業の事例として、2019年に創業100年を迎えたヤマトグループを紹介します。クロネコヤマトの宅急便で全国に知られているヤマトグループは、今日までに幾度のイノベーションを起こしてきたからこそ、100年以上続く老舗企業となったのです。創業年である1919年、当時の道路を使った運送は牛馬者と荷車が中心でした。トラックを使った運送業を開始したヤマトグループは、創業当初から既に時代に対するイノベーションを起こしたといってもいいでしょう。以降も1929年には東京~横浜間の定期積み合わせ輸送(定期便)、1976年には小口の荷物を取り扱う宅急便と、時代の変化に合わせてイノベーションを起こしていきます。
そして近年では2013年に海外と日本を繋ぐ総合物流ターミナル「羽田クロノゲート」の稼を働を開始し、新たな時代に合わせたイノベーションを起こしています。
常に変化を恐れず、時代に合わせたイノベーションを起こしてきたからこそ、ヤマトグループは日本中に名を知らしめる老舗企業となったのです。
事例から学ぶこと
ご存知のとおり、宅急便は個人から個人へと小口の荷物を運ぶビジネスモデルです。
宅急便が始まった1976年当時は、大口でまとまった荷物を運ぶBtoBの運送がメインであり、小口の荷物の取り扱いは「絶対に赤字になる」といわれていたのです。しかしヤマトグループは、赤字が先行しても消費者が抱えている問題を解決することを優先して宅急便事業を推進していきました。もしも小口の荷物の取り扱いをしていなかったら、現在の姿はなかったのかもしれません。
「運送業=ヤマトグループ」というイメージをお持ちの方は多いでしょう。創業当初から現代まで、時代が求めているイノベーションを起こしたからこそ、運送業界を代表する現在のヤマトグループがあるのです。
理想の従業員像とは
理想の従業員像は企業によってさまざまですが、大枠としては愛社心があり、仕事に対して誇りや価値を感じ、責任を持つ姿勢がある従業員だといえるでしょう。
自社の従業員に「理想の従業員像」のイメージを共有するためのコミュニケーションについて解説します。
コミュニケーションから生まれる効果
従業員とのコミュニケ―ションを強化することで、以下の効果が生まれることが期待できます。
- 生産性の向上
- 仕事に対する責任感が芽生える
- 従業員定着率の向上
- 顧客満足度や企業のブランド価値の向上
従業員とのコミュニケーションを強化することで、業務の分担や問題解決が円滑に進み、生産性の向上や業務効率化に繋がることが期待できます。
また、それによって各従業員の仕事に対する責任感が芽生え、仕事に誇りと価値を感じながら前向きな気持ちで取り組めるようになるでしょう。
更にそれは、従業員定着率の向上にも繋がるはずです。従業員一人ひとりが責任感を持って仕事をすることで企業全体の連帯感・一体感にも繋がり、それは顧客満足度や企業のブランド価値の向上にも繋がるでしょう。
コミュニケーション事例
従業員とのコミュニケーションを活性化するための施策を導入した事例として、食品メーカーとして有名なカルビーの事例を紹介します。
カルビーはnoteというブログサービスを使って商品発売までのストーリーや従業員の思いを発信しています。会社の認知度上昇や信頼度上昇を実現すると同時に、従業員に対するコミュニケーションの推進効果を狙っています。自社の取り組みを知ることで、愛社心・仕事に対する誇りや価値を高め、社内全体のコミュニケーションが促進されます。本来アウターブランディングの役割を担うはずの自社メディアを使って、インナーコミュニケーションの効果も生み出した好例だといえるでしょう。
事例から学ぶこと
カルビーの取り組みから学べることとして、アウターブランディングとインナーブランディングを推進することは相乗効果があるという点が挙げられます。
社外に対して発信している情報が全体コミュニケーションの効果を生み、従業員エンゲージメントを高めることにも繋がっています。
自社の情報・商品に込められた思いやストーリー・経営者や1人の従業員の思いなどを全従業員と共有することで、従業員一人ひとりの愛社心が育まれ、会社全体の一体感となります。
そしてそれは社外に対してもブランド価値を向上させることに繋がり、顧客満足度の高い商品やサービスを提供できる企業へと進化していけるのです。
インナーブランディングを推進することの重要性
インナーブランディングを推進するためには、「企業としてあるべき姿・従業員としてあるべき姿=明確なビジョン」を示すことが大切です。インナーブランディングを推進することで、MVVの実現に繋がります。
MVVはMission・Vision・Valueの頭文字を取った言葉です。詳しくは下の表をご覧ください。
MVV | ひとことでいうと…… | 詳しくいうと…… |
Mission(ミッション) | 企業が社会に対して「なすべきこと」 |
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Vision(ビジョン) | 企業が目指す「あるべき姿」 |
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Value(バリュー) | 従業員が具体的に「やるべきこと」 |
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上記のような役割を持つMVVを実現するためには、従業員に対して自社の価値や在り方を伝えていくインナーブランディングが必要不可欠なのです。インナーブランディングを推進していく過程の中で、従業員一人ひとりに少しずつ気持ちの変化・行動の変化が芽生え、MVVの実現に近づいていくでしょう。
動画を使った推進の好事例
インナーブランディングを推進する方法はさまざまありますが、その中でも最も有効な手段として動画を使って伝える方法があります。
動画は視覚・聴覚・言語の3つの情報を与えることができ、文字情報に比べると視聴者一人ひとりの読解力・想像力・知識量などを問わずに、全員にある程度一定のメッセージを伝えられ、理解を得られるのです。
動画で伝えるコンセプトムービー
動画で企業ビジョンを伝えている例として、全国にTSUTAYAや蔦屋書店、図書館、Tポイントカードを展開しているCCCグループの事例を紹介します。
CCCグループの事業内容は非常に多岐に渡ります。
多岐に渡る事業を展開するグループ会社は、所属する事業部などによって普段の業務内容も違います。しかしCCCグループはコンセプトムービーを作成することにより「世界一の企画会社」というビジョンを明確に示し、従業員に共通のイメージを持ってもらうことに成功しているのです。
動画では、視聴者のワクワク感を刺激するような構成・映像をもって「CCCが考える企画会社とはどんな会社か」などについて提示されています。
動画で伝えるメッセージムービー
従業員が従業員に対して思いを語るメッセージムービーを通して、従業員一人ひとりのエンゲージメントを高めることに成功している西武鉄道の事例を紹介します。
複数の従業員が仕事に対する思いや誇りを語ることで構成されたこの動画は、視覚・聴覚・言語の3つの情報を使って、動画に出演している従業員の思いを視聴者に伝えることに成功しております。文字のみではメッセージを発信している従業員の声色や表情は伝わらないでしょう。動画を用いているからこそ、視聴者により多くの感動と気づきを与えます。理想的な行動を自発的にとれる従業員を育成することに繋げているのです。
ハイクオリティな動画はプロの技術
動画の作成には、それ相応の技術や専門知識が必要です。
YouTubeに挙げられているさまざまな動画を目にするとわかるように、動画作成者の技術によって動画のクオリティは大きく変動します。理想とする動画が明確な場合は、プロに依頼することで理想に近い形で具現化できるでしょう。動画制作に必要な機材やスタッフの手配も動画制作の専門会社であれば、スムーズに可能です。
また、理想の動画のイメージが固まっていない場合は、プロに依頼すれば課題の整理から、動画の企画から制作に至るまで協力してもらうことも可能です。
従業員にワクワク感や感動・気づきを促せるクオリティの高い動画を作成するためには、制作会社への依頼が一番の近道だといえるでしょう。
インナーブランディングを検討されている担当者の方へ
インナーブランディングの施作は自社で行うことも可能ですが、難しい部分はインナーブランディングに強い企業に相談してみるのもおすすめです。
コンサルが得意、イベントに強いなど、企業ごとに強みがあるので、課題やステージに合わせて相談先を選定すると良いでしょう。
シースリーフィルムは、テレビCM制作を核として培ってきたアイデアやクリエイティブの力を応用し、インナーブランディングを目的とした映像やデジタル施作などにも取り組んでいます。社員へのコミュニケーションに映像を用いることで、エンゲージメントを高める効果が期待できます。課題整理からコンテンツ制作までワンストップでサポートいたしますので、ぜひご相談ください。