客観性のある現状の「評価」がインナーブランディング成功のターニングポイントになる

インナーブランディング成功に必要な方法と思考を解説

企業のインナーブランディングが注目されるなか、プロジェクト始動にあたって「各施策の効果をどのように判断するのだろう?」「インナーブランディングそのものの成果をどう評価すればよいのか?」といった疑問をもつ担当者も少なくないでしょう。
そこでこの記事では、インナーブランディングにおける重要なポイントでもある「評価」について詳しく解説しています。インナーブランディングを成功に導くための評価方法や活用すべきフレームワーク、効果をより高める施策などについても総合的に解説します。
通してお読みいただくことで、インナーブランディングにおける疑問点を払拭でき、次のステップに進むことができるでしょう。自社の組織改革にお役立ていただければ幸いです。

インナーブランディングとは

インナーブランディングとはインナーブランディングとは、企業の理念やビジョンを社員に浸透させるための取り組みです。社員と自社の企業理念を共有することで、事業成長や生産性の向上などさまざまなメリットをもたらします。
社内コミュニケーションを活性化させ、価値観に深く共感してもらうことが重要と認識された近年では、多くの企業がさまざまな施策を実行しています。

インナーブランディングが求められる背景

インナーブランディングの取り組みを行う企業が増えている背景には、いくつかの要因があります。経済のグローバル化が進む中、ビジネスにおいてはダイバーシティマネジメントという考え方も広まっています。また、アナログとデジタルをかけ合わせて生産性や業務効率化を図るデジタルトランスフォーメーション(DX)化なども急速に進んでいます。
さらに、2022年には新型コロナウイルスの感染拡大の問題が勃発。社会全体が大きく変化することを余儀なくされました。
さまざまな要因に揉まれ、社会やビジネスシーンは目まぐるしく変化していく中で新たな課題に直面する機会も増え、変化に合わせて柔軟に対応することが求められるようになっています
こうしたことからも企業は「時代に合った組織作り」を意識し、企業一丸となってよりよい組織へと改革していく必要があるのです。
そのためには、企業の掲げる理念やビジョンに社員が理解を示すこと、また深く共感することが重要。変化に強く生き残れる組織を作るには、理念の共有を目的としたインナーブランディングの取り組みが不可欠であると考えられています。

インナーブランディングのメリット

インナーブランディングの取り組みは、企業全体にさまざまなメリットをもたらします。
インナーブランディングの大きな成果として、従業員エンゲージメントの向上があります。従業員エンゲージメントとは、企業と社員の双方向の結びつきを指す言葉です。
企業と社員が互いに信頼を築けるよう関係構築できれば、従業員ロイヤルティの向上も見込めます。従業員ロイヤルティは「愛社精神」や「帰属意識」などに深く関係しているため、結果的に離職率の低下や定着度の向上など、人事の分野にも大きなメリットをもたらすのです。
インナーブランディングに注力することで「従業員エンゲージメントの向上」「従業員ロイヤルティの向上」「離職率低下」という組織作りに欠かせない3つのポイントを押さえられるようになります

インナーブランディングのデメリット

インナーブランディングには大きなメリットが期待できる反面、デメリットもあることを認識しておかなければなりません。
インナーブランディングは効果が出るまでに時間がかかるため、中長期的な施策を根気よく続けていく必要があります。また、インナーブランディングの取り組みそのものの効果を実感しにくい、というのもデメリットとして感じやすいでしょう。
理念の浸透や共感の結果は、定量的に測定するのが難しい部分です。現に「本当に効果があるのかわからない」「予算を投入してまで実践する決断に至れない」という担当者は少なくありません。
このようなデメリットを解決するには、正しい効果測定の方法を取り入れながらPDCAサイクルを回していく必要があります。
効果測定の方法としては、組織サーベイやeNPSなどの手法が使われています。社員へのアンケート調査やインタビュー、グループディスカッションなどを取り入れることも。
効果が感じられない場合は改善点をあぶり出し、アプローチ方法を変更しながら測定を続け、施策の精度を高めていくことが重要です。

成功のターニングポイントはPDCAサイクルの「評価」が大事

成功のターニングポイントはPDCAサイクルの「評価」が大事企業にとって大きなメリットのあるインナーブランディング成功のポイントは、正しいPDCAサイクルを回すことにあります。なかでもCheck(検証・評価)の部分が特に重要といえるでしょう。
検証や評価が曖昧になっていると、現状を客観的に評価できず成果にも結びつかないというケースもあるのです。ここではインナーブランディングにおけるPDCAサイクルで重要な、評価の視点についてお伝えします。

次につなげるための客観的視点

PDCAサイクルでは、客観的な視点で評価することが重要です。「自分がどう感じるか」という主観的評価ではなく「自分以外の多くの人がどう評価するか」の客観的評価で検証していくようにしましょう。
ここで主観的になってしまうと、現状の評価が正しく行えないため見当違いな改善案を出してしまうことになりかねません。インナーブランディングは中長期的な施策になるため、正しいPDCAサイクルを意識する必要性がとくに高いといえます。
客観的で適切な評価をするためには、KPT(ケプト)のフレームワークが有効です。

K:よかった点

P:改善すべき点

T:次回行うべき行動

この3つの視点をそれぞれ明確化することで、次につながる行動が見えやすくなります。主観的な評価をしないことや「次回にどう動くべきか」といった行動レベルまで振り返って評価を行うことが大切です。

明確な評価基準

インナーブランディングの正しい評価を行うには、明確な評価のラインを設定しておくようにしましょう
施策の検証では、定量的な数値基準を設けるとよいです。具体的な評価基準があれば、前回より向上したのか低下したのか、明快に判断することができます。
インナーブランディングは効果を実感しにくい取り組みではありますが、社員の満足度や意識アンケートの結果などで定量的な効果測定を行うことも可能です。施策の効果が出ていれば、生産性や売上の向上にも寄与します。
定量的な評価方法と、定性的な評価方法を組み合わせながら検証や評価をしていくことが重要です。

中途半端なタイミングでの検証・評価はNG

PDCAにおける検証や評価は、中途半端なタイミングでやみくもに行わないようにしましょう。計画性のない検証や評価では、現状を正確に評価できずPDCAサイクル全般を乱す要因になります。結果を焦って頻繁に評価をしても、かえって逆効果になることもあるので注意が必要です。
検証や評価は計画性をもって均等なスパンで行うようにしましょう。日・週・月毎などのように、チェックする期間を一定に保つようにします。一定のルールを決めてルーティン化していくのもよいでしょう。
担当者や社員など、それぞれ個人目標の達成度を日や週、月毎に評価していきます。前述したKPTのフレームワークを活用すれば、改善ポイントを素早く洗い出すことも可能です。

根拠のある評価につながる検証方法

根拠のある評価につながる検証方法インナーブランディングの取り組みを評価するのに適した方法としては、アンケートやインタビュー、eNPSなど複数の方法があります。
なかでも「あるべき姿」と「現状」とのギャップを定量的に評価できる方法として「組織サーベイ」があります。
組織サーベイはインナーブランディングの効果測定方法として有用です。ここからは組織サーベイの詳細やメリットなどを詳しく見ていきましょう。

サーベイ:メリットとデメリット

組織サーベイとは、組織の状態を測定するツールです。組織サーベイを使えば、企業における問題点や課題のあぶり出しが効率的にできるようになります。従業員エンゲージメントや従業員ロイヤルティなども、組織サーベイの結果から把握することができます。
組織の状態を具体的な数値にして可視化することができるため、明確な評価基準の設定や正確な検証に役立ちます。サーベイを活用することで、従業員の離職意志や転職希望などの動向を知ることも可能となります。
一方で、組織サーベイは担当者や社員に対して負担が大きくなりやすいというデメリットがあります。担当者の場合、ツールの比較検討から導入、社員への周知や依頼の連絡、回収や分析など一連の業務が追加されます。
社員も同様に、日々の業務外でサーベイを受検することになるので、多少なりとも負担を感じるでしょう。
このデメリットを払しょくするには、サーベイの実施目的を明確化することが大切です。「なぜこの取り組みをするのか」を社員にもしっかり理解してもらい、サーベイはあくまでも手段であり目的ではないということを会社全体で認識していくことが重要です。

サーベイの詳細:目的別サーベイ

サーベイには、目的別に複数の種類があります。サーベイの実施目的を確認するために、どのような種類のサーベイがあるのかを知っておくとよいでしょう。

サーベイの種類 目的
従業員サーベイ 職場環境・人間関係・エンゲージメントへの満足度を調査する手法
モラールサーベイ 社員の意欲や士気を調査できる手法
パルスサーベイ 組織内の変化や現状の問題点を迅速に調査できる手法
エンゲージメントサーベイ 自社や自社の商品やサービスに関する愛着心を調査する手法

組織サーベイは、主に職場環境への満足度を調査するため組織改革時、人事制度や就業規則の改定時などに役立ちます。
モラールサーベイは、社員のやる気や職場の士気などを上げる方法を見出すために有効な調査方法です。
パルスサーベイは週や月ごとの短期間で、簡単な質問を繰り返し行う手法。少ない負担で早急に問題点のあぶり出しができます。
エンゲージメントサーベイでは、愛社精神や愛着心を定量的に測定できるため、エンゲージメントやロイヤルティの向上を目的として行います。

このように、サーベイは種類ごとに手法や目的、役割が異なります。目的に応じたサーベイを選ぶこと、またインナーブランディングのフェーズごとに使い分けるなどして活用してみましょう。

PDCAのデメリット

PDCAを回すことが重要だとお伝えしていますが、PDCAにもデメリットがあることを再確認しておきましょう。
PDCAは今や常識的なフレームワークとなっていますが、実は想定外のことに対応しにくいという問題点を抱えています
計画通りに施策が進んでいる場合は問題ありません。しかし突発的な外的要因に対して混乱が生じやすく、正しい検証ができなくなることがあります。また、常に同じPDCAを繰り返すことによって、改善への発想が常態化してイノベーションが起こりにくいのもデメリットです。
このようなデメリットや問題点があることを事前に把握し、この部分をカバーする方法についても考えておくとよいでしょう。

変化に対応できるOODAループ(ウーダループ)

突発的な外的要因にも柔軟に対応できるフレームワークとして有効なのは、OODAループ(ウーダループ)です。Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(実行)をループさせることから、それぞれの頭文字をとってOODAループと呼ばれています。OODAループとは、短時間で迅速に意思決定をおこなうための思考法です。ビジネスシーンだけでなく、スポーツや私生活などのあらゆる場面で活用できます。

OODAループとPDCAサイクルの相乗効果

OODAループとPDCAサイクルはそれぞれ違った目的があり、着眼点や実践方法も異なります。そのため、どちらかが優れていると考えるのではなく、うまく組み合わせて相乗効果を期待しましょう。
たとえば、PDCAサイクルは決まったプロセスを同じ順番で繰り返していくのに対し、OODAループは「ループ」という考え方に基づき、各プロセスを引き返して検討し直すことを強みとした思考です。
またPDCAサイクルは、理想的な社内の管理サイクルを目指して使われるものですが、OODAループでは市場や業界などのマクロな視点を考慮することができます。
両者の強みを生かして融合させることができれば、2つのフレームワークによる相乗効果が期待できるでしょう
これまでのPDCAサイクルだけでは不足していた部分をOODAループで補い、調整できるようになります。外的要因や想定外の変化にも対応できる組織作りを行うには、競争力や勝負といった目的にも強いOODAループの活用がカギになるといえます。

インナーブランディングによる企業理念の浸透度

インナーブランディングによる企業理念の浸透度ここまでで、PDCAサイクルでは検証や評価が非常に重要であることを繰り返しお伝えしてきました。
インナーブランディングにおける「評価」とは、企業理念の浸透度のことを意味します。企業理念の浸透度を高めるには、効率の良い方法で、素早く広く社員にメッセージを届けることからスタートすべきです。
企業理念の浸透度を高速化するには、施策に動画を用いること、またその動画のクオリティにこだわり、見る人の心を掴み、動かすことが重要になります。

企業理念の浸透に有効な動画の活用

インナーブランディングにおいて、動画の活用は必須と言えます。動画は、短い時間でより多くの情報を伝えられることや、人の印象に残り感情移入を促すという特徴があるためです。「ブランドイメージ」を伝えることや、企業から社員へのメッセージを届けるのに非常に効果的な手法になります。
動画はたった数十秒という短い時間の中で、社名や企業の歴史、理念、経営者からのメッセージ、社員や顧客の声……といったさまざまな情報を盛り込むことができます。映像・音声・テキストと複数の要素を用いたPR動画を作成すれば、1本で多くの人に自社のメッセージを届けることができます。
また、一度作った動画は自社の紹介動画として、採用活動や社外イベントなど複数のシーンで活用可能。複数の用途で使えるハイクオリティな動画を制作することで、施策の費用対効果を高めることもできます

ハイクオリティな動画は外部発注が確実

企業理念の浸透に動画の活用が欠かせないとする一方、動画制作にはデメリットもあります。
動画制作は、撮影や編集などにかかるリソースが大きくなります。社内に制作スキルを持っている人材がいない場合も多く、制作できたとしても本来の業務に支障が出ることもあるでしょう。加えて、複数のシーンで使用できるブランディング動画は、ハイクオリティで完成度の高いものでなければなりません。
インナーブランディングで使用する動画は、外部のプロフェッショナルに委託するのが最良の方法です。企画の立案から広告映像のノウハウを活かした動画を作成してくれるため、洗練された訴求力の高い動画になります。自社の人間だけでは見えにくい「自社の魅力」を新たに発見してくれることもあります。
動画制作を外部の制作会社に依頼する場合は、インナーブランディングにおける課題整理から制作、納品までをワンストップでサポートしてくれる企業がおすすめです。

インナーブランディングを検討される方へ

インナーブランディングを検討される方へ近年では、インナーブランディング支援を行う企業が増えてきています。インナーブランディングを検討中の場合は、外部企業への委託や相談を視野に入れることをおすすめします。
インナーブランディング支援を行う企業によっても、コンサルが得意、イベントに強いなど、会社ごとに強みや特色が異なるため、自社の課題やステージに合った相談先を選んでみてください。

シースリーフィルムでは、テレビCMを核として培ったアイデアやクリエイティブな力を応用し、インナーブランディング用の動画制作やデジタル施作に取り組んでいます。社内コミュニケーションに動画を活用することで従業員エンゲージメントを向上させることも期待できます。
当社では課題整理から制作までワンストップで対応いたしております。インナーブランディングに関してお悩みの方は、ぜひ一度当社までご相談ください。

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