インナーブランディングをご存知でしょうか?変化と競争の激しいこの時代においてあらゆる企業に求められる活動のひとつですが、その重要性を感じながらも「どう取り組んでいいかわからない」「コストばかりかかってしまう」と、消極的になってしまう担当者も多いようです。
この記事ではインナーブランディングを進める上での研修の重要性と、その活用方法についてお伝えします。インナーブランディングは長期かつ大規模な活動であり、事業と並行して行うことは企業にとって大きな負担ですが、その負担以上に成功したときの効果は絶大なものになります。起業にとって取り入れやすい研修を用いてインナーブランディングのとっかかりをつかみ、活動全体の推進に役立ててください。
インナーブランディングとは
「ブランディング」という言葉からは、企業が顧客や社会に対して自社の強みや商品の魅力についてアピールするイメージを抱く方も多いですが、これはブランディングの中でも「アウターブランディング」のことを差します。一方、「インナーブランディング」とは、企業が「自社の社員」に対して、企業の強みだけでなく、企業理念をはじめとしたその企業の在り方や将来の姿を伝えることを指します。
インナーブランディングの目的
昨今、企業が生き残ることがますます難しくなっている状況を背景として、インナーブランディングが注目されています。国内外企業の参入や買収だけでなく、企業の一員ではなく個人として生きる道を選ぶ人も増えました。厳しい潮流にあっても企業を支える社員の強い信頼を集め、力を伸ばし、企業とともに成長してもらえなければ企業そのものの存続はあり得ません。社員一人ひとりがインナーブランディングを通じて企業理念に共感することで「この企業で働くことに意味がある」と腑に落ちて働くことが出来れば、その企業を伸ばすために意欲的に能力を発揮して貢献してもらい、一貫性のある強い企業であり続けることが可能なのです。
企業を構成する社員が企業に思い入れを持っていれば、多額の投資をしなくても社員が主体的に業務改善や効率化に取り組んだり、自社製品の品質向上にも積極的になります。インナーブランディングには時間もコストもかかりますが、成功すれば多くの企業が強く求めている恩恵を受けることができ、長期的に存続し、存在感の強い企業であることが可能なのです。
インナーブランディングが重要な理由
インナーブランディングは、変化が激しく企業の生き残りが非常に難しくなったこの時代にこそ必要とされる活動です。どんな人でも情報を気軽に発信できるようになり、その情報が一瞬で世界中を駆け巡るようになったため、企業の不祥事や内部のトラブルが発生した際には一瞬で広まってしまいます。反対に、社員がその企業に対する信頼を強く持っていれば、社員が主体的に企業の魅力を発信することになり、企業の存在感を拡大することも可能となります。
社員が企業の思いや目指す姿、日々の考え方を深く理解して共感し、現場の業務に落とし込むことができれば、企業のあらゆる事業それぞれの一貫性が高まって企業全体としての一体感が増します。企業としての考え方を持つ社員が企業にとってふさわしい決断と行動を迅速に行うことができ、強くしなやかな組織が形成されます。
その影響は品質向上や業務改善に限らず、社員が主体的に商品や企業そのものの魅力を伝えることでPRにつながり、社員の考え方に触れて企業で働くことに魅力を感じる人材も増え、採用や人材定着にも貢献します。
インナーブランディングが求められる企業とは
インナーブランディングは、変化が激しくこれまでの常識が通用しなくなり、企業の生き残りが困難になる社会環境においては必須の活動と言えます。その中でも、特にインナーブランディングの重要性が高い企業についてここでお伝えします。
事業規模が大きい企業
着実に成長を積み重ね、事業規模が大きくなった企業は、それだけ多くの社員に支えられています。大規模の会社で、その社員一人ひとりが、企業が目指している方向や大事にしている価値観に共感をしていると言い切れる企業は少ないのではないでしょうか。また、規模が大きいほど事業内容は多岐にわたり、商品やサービスの内容や魅力を全て理解している社員は少ないと考えられるため、企業への理解をしてもらうための活動には大きな意義があると言えるのです。
幅広い事業を行なっている企業
様々な分野で事業を展開している企業ではブランドそれぞれが「別々のもの」だという印象を社員に与えることがあります。そして、社員がそれぞれのブランドや事業に対して異なる認識を持っていると、企業全体としての価値観に一貫性を感じづらくなり、特定の自社ブランドに対して「なぜ自社でこの事業をしているのだろう」と疑問を感じさせます。
その疑問を払拭するために、それぞれのブランドにおいて行う事業は違ったとしても、根底に流れている価値観が一貫していることを言語化・可視化して社員に伝え、「だからこの事業が自社には必要だ」と腑に落ちてもらう必要があるのです。事業が多岐にわたるほど、企業の社会に対する影響力は大きくなりますが、それらがすべて同じ価値観から生まれたものだと理解することができれば、それぞれの事業の共通点や関係を言語化することができ、その先の事業展開の判断基準も確固としたものになり、事業や企業規模の拡大にも貢献するのです。
スタートアップの企業
立ち上げたばかりでまだ規模が大きくない企業こそ、継続的な企業成長のためにインナーブランディングが必要不可欠となります。事業が軌道に乗るまでの不安定な時期には、事業継続に対する不安から本来の事業の目的を見失ってしまうことがあり、長期的な企業成長の妨げとなるケースは後を絶ちません。企業の社会的な信頼や、社会での存在感も企業理念が深く影響を与えます。
また、企業規模や組織が小さい段階であれば企業内に企業理念を浸透させ、腹落ちしてもらうことはそこまで難しくありません。創業者自身が社員に日々語りかけることもでき、濃い信頼関係を築いておくことで、企業が成長して組織が大きくなった際にもインナーブランディングのノウハウがあれば、新たな社員にも企業理念をスムーズに浸透させることが可能です。
インナーブランディングの研修方法
ここまでインナーブランディングの重要性についてお伝えしてきました。この社会環境においては、どの企業が生き残るためにもインナーブランディングは必要不可欠となります。しかし、インナーブランディングには時間もコストもかかりがちで、成果が目に見えづらく活動を継続することは容易ではありません。ここではインナーブランディングを進めるうえでの研修の活用方法をお伝えしていきます。
企業理念の確認
これからインナーブランディングを進めていくうえで、社内全体に広めようとする企業理念そのものが企業の在り方にマッチしていなかったり、社員にあまりにもなじまないと感じさせてしまうようなものであればその理念は決して浸透せず、インナーブランディングも成功しません。このことをしっかり踏まえたうえで、まずは今掲げている企業理念が経営層だけでなく多くの社員の考え方になじむものである必要があります。
また、企業理念に対して共通した認識があったとしても、それを社員に伝えられるような具体性を持たせ、言語化することが出来なければ浸透も難しくなります。こういった観点を持って今の企業理念が浸透させるのにふさわしいものなのかどうかを見極めることは非常に重要です。
自社ブランディングの定義付け
続いて、先ほどのステップで明確になった企業理念を元に、「目指す姿」や「日々の業務に対する考え方」を定義していく必要があります。企業全体として、企業理念に立脚した未来の姿が無ければ事業計画などの数値に落とし込むことや、どのような事業を展開していくのかという具体的なアクションに落とすことが難しくなります。
さらに、企業の目指す姿を実現するために社員一人ひとりが日々どのような基準や価値観を持って業務を遂行していけばいいのか、ということも理解してもらい、主体的に考えてもらわなければなりません。企業として、どのような位置づけを目指すのか、そしてそのために社員がどのような行動を行うべきなのか。といったことが明確に理解できるような定義をすることで今後のインナーブランディングの進捗がスムーズになります。
カリキュラムの作成
企業理念も社員の特性も、企業によって非常に様々です。研修の実施によってインナーブランディングを進めるならば、そのコンテンツもその企業の特性にマッチしたものでなくてはなりません。
その企業全体として目指す姿はもちろん、それを達成するために日々の業務や自分の役割がどういった意味を持っているのか、あるいはその業務が社員の人生においてどのような意味を持つのか、といったことを社員に主体性を持って考えてもらえるような内容である必要があります。
特に、社員自身の行動が何かに貢献していることを実感できる機会は日常では多くありませんが、企業活動が社会や顧客にどのように受け入れられているかを深く伝えることで社員の意欲を引き出すことができます。「お客様の声」という形で動画メッセージなどを盛り込むことも社員の興味をひきやすく、効果的と言えます。
ワークショップ
社員が企業の魅力を知り、より企業に対する思い入れを深めてもらうためには、企業の活動そのものを深く知ってもらう必要があります。そのために、淡々とした文章で伝えるよりも実際に違う事業部や部署で働く社員との交流など、日常業務とは異なる形で企業に触れる機会が有効です。
インナーブランディングは、経営層や担当者だけでなく社員一人ひとりが主体性を持ち、自身の生き方と企業での働き方を結びつけてもらうことで成り立つ活動です。一方的な情報発信も必要ですが、社員が自分ごととして活動をとらえられるようなバランスの良い活動を組み立てていきましょう。
PDCAを回す
インナーブランディングは長期にわたる活動です。最初に定めた企業理念や企業が目指す姿の定義も、多少なりとも修正しなくてはならない場合もあります。活動を進めるうえで社員と関わり現場の意見を聞くことで社員の本音が見えてくることで、より良いインナーブランディング施策のアイデアを得ることもあります。その意見を逃すことなく取り入れ、活動そのものの効果が上がっているかどうかを適宜チェックしながら、軌道修正しながら地道に進めていくことが結果的に早道です。
動画の活用
社員に深く訴えかけつつ効率よく多くの社員に企業理念や経営層の思いを伝えるためには、企業の魅力やビジョンを盛り込んだ動画を作成することが効果的です。研修の際に見てもらうことで、一度に多くの社員に短時間でわかりやすく、理念を説明することが可能となります。
インナーブランディングについてご検討される方へ
インナーブランディングは、あらゆる企業に必要とされます。一方、日々の業務を行いながらすぐに収益につながらず多額の投資を必要とするインナーブランディングを並行して行うことは容易ではなく、多くの企業が避けて通りがちな道です。
しかし、お伝えしたようにインナーブランディングは社員のエンゲージメントを高め、人材採用を円滑にし、製品やサービスの魅力を伝えやすくなることで企業の存在感や存続にも大きく寄与する活動ともなります。
インナーブランディングを依頼される担当者も、ほとんどが初めての取り組みであり不安を感じ手探りで行う場合も多いですが、インナーブランディングを確実に成功させるためにプロの手を借りて見るのはいかがでしょうか。映像制作会社のC3Filmは日頃目にするテレビCMやオンライン動画などの映像を制作していますが、インナーブランディングに特化した動画作成も得意としています。
インナーブランディングには適切な企業理念の策定が必要となりますが、その初期段階のコンサルティングも可能であり、インナーブランディング全体をトータルサポートしてくれます。
会社の魅力が一本の動画に詰め込まれていくのは圧巻です。ぜひインナーブランディング担当者として、企業全体を一つにまとめ上げていくやりがいを実感してみてください。