企業でインナーブランディングをおこない成功にみちびくためには、企業理念を設定し、十分それを理解しなければなりません。企業理念とは企業の存在意義や、企業の目的などをわかりやすく示したもので、企業にとっては無くてはならないものです。
社員に企業理念が浸透せず、お悩みの方も多いのではないでしょうか。企業理念を社員に浸透させるインナーブランディングは多くの時間と手間が掛かるプロジェクトですので、絶対に成功させたいものですよね。
そこで本記事では企業理念について詳しく解説していきます。是非参考にしてみて下さい。
企業理念とは
企業理念とは「企業の理想とするあり方」です。現在はさまざまなスタイル・意味合いの企業理念が存在します。企業理念には企業の考え方、価値観、企業の目的(利益以外)などが含まれ、ブランドイメージにも繋がっています。
しっかりと企業理念を設定することで、採用領域・インナー領域・カスタマー領域などのさまざまなシーンで多くの利益を得ることもできます。また、企業理念とは「企業の在り方、存在意義を言語化したもの」でもあります。各企業の思想・使命・志などの根底にある考え方などの特徴を言語化したものです。
そして企業理念は企業のあり方を示しているため、企業活動の全ての意思決定の軸・判断基準になることは間違いありません。例えば、企業が新しいビジネスに取り組む際に、利益のみを考えるのではなく、どうしてそのビジネスを始めるのか、自社がなぜ取り組むのか、などを企業理念に照らし合わせて判断することができます。また、企業理念は、企業及び社員の行動指針にも繋がっていると言えます。
企業理念をしっかり設定し、理解することは、インナーブランディングを成功させるための第1歩と言っても過言ではありません。
インナーブランディングにおける企業理念の重要性
インナーブランディングは、自社のブランド価値や企業理念などを社員に伝達して浸透させていく活動のことを指します。
上記でも述べたように、企業理念は企業のあり方、存在意義を示している重要な考え方のことで、企業活動の意思決定や判断基準にもなります。したがって、企業理念なしでインナーブランディングはできません。社員に何も伝えることができずに全く意味のないものになってしまいます。
効果的なインナーブランディングをおこない、社員に自社のあり方・方針を伝え浸透させていくためには、最初に選定をする企業理念が重要です。そしてその後、ゆっくり時間をかけてインナーブランディング活動をおこなえば十分な成果が得られることは間違いありません。
経営理念との違い
企業理念は簡単に言うと、会社のあり方・方針などを決めるための重要な理念ですが、経営理念とはどのような点で違うのでしょうか。その違いは、企業理念は企業のイメージを社内外に伝えるもので、ブランディングの要素が強いです。一方、経営理念は企業が経営していく中でのお金の使い方などの方向性を提示している理念のことを指します。
また、経営理念の決定には経営陣の了承が必要不可欠で会社の実質的な経営に関わります。
企業理念と経営理念を翻訳すると
・経営理念:Management Philosophy
・企業理念:Corporate Philosophy
経営理念の冒頭には「Management」と記載されていますので、以下のような意味になります。
「企業が経営を維持していくために、資本を出資する際に根本的な理由になる精神・行動の方向性などを明確にしたもの」
また、企業理念の冒頭には「Corporate」と記載されていますので、以下のような意味になります。
「企業の存在意義・方針を明確にしたもの」
そして、企業理念・経営理念はメッセージの意味・性質や、伝えていく相手が違うことも大きな相違点です。下記にそれぞれの特徴を表記していきます。
・経営理念:社内全体に企業の運営方針の根本となる理念を伝える
・企業理念:社内外に企業全体のイメージを伝えてブランディングを計る
企業理念を決める5つの要素
企業理念を決めて、社員に伝達・浸透させていくことは、企業のブランディングをおこなう上でとても重要です。しかし、実際に企業理念を決めようと思っても、とても重要なものであるために、どこから始めていいか分からないものです。
また、企業理念を作成しようと思っても、どのような点に注意して作成していけばいいか分かりませんよね。そこでここからは、企業理念を決めていく上で重要な5つの要素について詳しく解説をしていきます。
ミッション
企業理念を構成する5つの要素の中でも、最も重要とされるのが「ミッション」です。ミッションは簡単に言い換えると「日々果たすべき使命」であり、私達が仕事などに従事し、常時果たしていることがミッションになります。
ミッションは企業の存在意義そのものと言っても過言でなく、重要な意味を持っています。また、ミッションで重要なのは、ミッションそのものをどこまで意味深いものにできるかという点です。その理由は、ミッションの意義を高めれば高めるほど、自社のマーケットが拡大していく点にあります。
例えばスターバックスは、美味しいコーヒーとリラックスできる空間を提供しました。
スターバックスは時代の要請に応える強い思想を持っていたので、現在の大成功につながったと言えます。
ビジョン
ミッションが「日々果たすべき使命」である一方で、ビジョンは「実現したい未来」と意味づけることができます。したがって、日々果たすべき使命である、ミッションを継続し続けた結果として実現される未来がビジョンです。
またビジョンの内容としては、売り上げに関する目標よりも、企業のユーザーや、周囲が応援してくれるビジョンを設定するのがおすすめです。そしてミッションは企業の存在意義であり、途中で変更することはない一方で、ビジョンは未来の話で、時期を見てアップデートすることも可能です。
例えば、世の中の状況に応じて大きく変化を遂げていく企業などは、5年、10年などの短期的なスパンでビジョンを見直すこともあります。
バリュー
バリューとは、ミッションを継続していくにあたり、企業からユーザーに提供する価値・強みのことを指します。上記に紹介した「ミッション」「ビジョン」のように企業側の立場的視野で考えるものではありません。バリューで最も重要なのは誰に対して提供できる価値なのかを十分考慮することです。
誰に向けてのバリューなのかを明確にすることで、効果的な企業理念の選定ができることは間違いありません。さらに、企業のユーザー、パートナー、社員という形式でステークホルダーを分ければ、効率的にバリューを整理することができます。
スピリット
企業の「大切にすべき精神」がスピリットであり、簡単に言い換えれば、日頃から大切にするべき行動指針で、クレドとも言われています。ミッションを実施していく上で、常にどんなポリシーや心がけを持ち業務にあたるのが理想的なのかを考慮していくことが重要です。その際にはビジョンやバリューも盛り込みながらスピリットを作ることが必要不可欠になります。
またスピリットは、企業内でチーム単位か個人で設定する企業のミッションやビジョン実現のための心構えとも言えます。一人一人のスピリットがなくては企業理念どころか、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の明確な定義もできません。したがってスピリットは、最も根本的な要素とも言えます。
スローガン
スローガンとは、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」「スピリット」などのそれぞれの言葉を一言で表現したものが「スローガン」です。スローガンは、企業・ブランドの合言葉のようなものであり、企業を代表するイメージでもあります。企業が何を目指し、どのような目標で活動しているのかは、ミッションやビジョンを一言で表しているスローガンで周知可能です。また、スローガンの設定により、社内・社外にも企業の方向性なども理解してもらうことができます。
スローガンを使用すれば、ミッションやビジョンの意味合いを大々的に広告することも可能です。したがって、スローガンをCMの最後に流したり、コーポレートロゴの上に表記することも多くなっています。
企業理念を決める上で知りたいCIとは
ビジネスに携わっている方なら一度は、CI(コーポレートアイデンティティ)という言葉を聴いたことがあるのではないでしょうか。
CIとは、企業理念やビジョンを構築する重要な要素であり、組織・企業が「何者であるか」を明確にした表現で、企業の経営方針を反映したものです。ここからは、企業理念を決める上で重要なCIについて詳しく解説し、さらにCIを構成する要素についても解説をしていきます。
【企業戦略】CI(コーポレートアイデンティティ)
CI(コーポレートアイデンティティ)とは、「企業戦略」のことで、「理念」「行動」「資格」から成り立っています。「企業の方針を推進するために必要なサービス・商品展開は何か」という企業姿勢をプロモーション・ロゴ・サービスなどを通じてマーケットに認識させるのが主な目的です。
そもそもアイデンティティとは、「個人」について表現される精神学・心理学の概念で、その概念を企業組織にあてはめたものがCIです。CIは他との優位性・差別化を計るための資産と認識されることがあります。
1950年にCIの概念はアメリカで発祥し、日本では1975年に自動車メーカーが設定したのが初めてと言われています。イメージ的には最近導入されたような概念ですが、実際には歴史ある概念です。
また、CIは「企業ミッション」「企業ビジョン」「企業文化」「社員の行動」「顧客とのコミュニケーション」を分かりやすく言語化、ビジュアル化したデザインやロゴも含みます。
【理念】MI(マインドアイデンティティ)
MI(マインドアイデンティティ)とは、心や精神を意味しています。MIは企業の社会に対する存在意義、目指すべきあり方、社員の精神的ベースとなる経営哲学です。このMIが社員の行動・表現を左右し、MIが「平和的」か「革新的」かでも社員の指針が大きく異なっていきます。
また、MIは社員一人一人の精神的根本とも言えます。したがって、MIを決定しなければ、企業理念や、そのほかの企業の重要事項などを決定することは困難です。まず企業のMIを決めてから企業理念などを作成することをおすすめします。
効果的なMIの形成は、企業の理念選定においてとてもいい影響を与えてくれることは間違いありません。その上、企業が素晴らしいMIを形成すれば、社員一人一人にも好影響を与え、企業全体が活性化する効果も期待できます。
このような観点から、MIの設定は、さまざまな点で重要だと言えます。
【行動】BI(ビヘイビアアイデンティティ)
ビヘイビアを日本語で直訳すると「態度」という意味になり、BI(ビヘイビアアイデンティティ)は企業・社員の行動やコミュニケーション指針になります。また、BIはMIの事前段取り段階とも言われており、その内容は多岐にわたります。
BIの内容はMIを達成するための組織改革・活性化、販売促進、社員の行動指針、SNSなどのコミュニケーション方針、顧客とのコミュニケーション方法、品質方針などの具体的な法案・行動が該当していきます。
企業理念を策定するにあたり、重要なMIの土台としてBIは近年注目されています。また、BIも企業理念作成に重要な要素としても注目されており、今後の活用が期待されます。
MIとBIは連結している要素だと言えます。したがって、どちらか1つが欠けてしまうと効果的な企業理念は選定できないと言っても過言ではありません。
【視覚】VI(ビジュアルアイデンティティ)
VI(ビジュアルアイデンティティ)は、CIの構成要素の中でも目で見ることができるビジュアル的なものを指します。視覚的で分かりやすいロゴ・スローガンなどをMIやBIなどを基本として作成します。
CIの中で最も外部へのメッセージ性が強いのがVIで、一見するだけで企業名などを連想・想像できる特徴があります。例えば、分かりやすいキャッチコピー、一目見るだけで企業の判別ができるトレードマークなどが分かりやすいVIと言えます。
またVIは、私たちが意識していないさまざまな所で使用されています。例えば、企業のCMなどでは、多数VIが使用されていることもあり、見ている人に無意識的に影響していることも多く見受けられます。
このような観点から、VIは私たちの視覚的・聴覚的な部分に無意識のうちに影響を及ぼしている、効果的なCIと言えます。
インナーブランディングで企業理念を成功・浸透させる方法
企業理念を社内で十分に浸透させるためには効果的にインナーブランディングをおこなうことが必要不可欠です。しかし、実際に企業理念を浸透させていくことはとても難しく、インナーブランディングの手法には動画の制作など効果的ですが自社だけでは難しい手法もあります。
そこでここからは、インナーブランディングで企業理念を浸透させる方法について詳しく解説をしていきます。
明確で分かりやすいものにする
企業理念を選定しても、複雑すぎると浸透しにくいですので、見ただけで「どんな理念か」を分かりやすく選定しましょう。企業理念を見ても意味が分からなかったり、何を伝えたいのかが分からなければ全く意味のないものになってしまいます。
したがって外見のみを取り繕うのではなく、十分に本質を捉え、さらに誰にでも分かりやすく共感されるような言葉を選んで理念を選定していきましょう。上記の点に十分注意して理念を選定すれば、とても明確で分かりやすい理念が選定され、円滑なインナーブランディングが可能になります。
共感性を得られるようにする
従業員や顧客が共感できない企業理念は浸透しにくくなります。したがって企業理念を選定する際は、企業の経営陣が従業員や顧客に伝わりやすい理念を選定することが重要です。例えば、従業員や顧客に「会社の方針・指針」「会社の使命」「会社の社会的責務」などを伝達して、理念に加味することで共感性は増していきます。
多くの人に共感してもらえる経営理念を選定するためには、誰からも受け入れてもらえるような、きれいごとばかりでは相手には何も伝わりません。したがって、経営者が企業を経営していく上で心の底から感じていること、本当にどんな会社にしたいかを明確にしていかなければ何も伝わりません。
従業員が自発的に行動できる
企業理念は経営者の理想・価値観などを明確にするものですが、経営者だけではなく、従業員にも浸透させていかなければ何の意味もありません。したがって、上層部の指示で動くのではなく、従業員のエンゲージを高めて自発的に行動してもらうことが重要です。
また「自分ごと化」することで従業員が自発的に行動できるようになり、従業員が企業理念を「自分のこと」として捉えるようになります。インナーブランディングもスムーズになることは間違いありません。
したがって、企業理念に関する事項を人事評価制度に組み込んだり、定期的なアンケート調査の実施などにより従業員が自発的に行動して、理念が浸透しやすくなります。
習慣化できる仕組づくり
企業理念は作るだけでは浸透していきません。理念は選定のみで終わるのではなく、常に従業員が企業理念を意識した働き方ができるような習慣作りが重要です。習慣作りを徹底させるために、今までの理念浸透活動を振り返ってPDCAをくりかえしていきましょう。
企業理念が浸透して習慣化すれば、従業員は企業理念に沿って行動することに大きな価値を感じ、社員同士が同じ価値観の中で仕事ができます。理念の習慣化はとても難しいですが、もし習慣化が実現できれば人材の移り変わりが激しい現代でもビジョンを持った従業員は残っていきます。また、理念が確実に習慣化することで新たな人材の採用の基準も明確になります。
長期的に取り組む
企業理念の選定は決して簡単なものではなく、浸透させていくためには長期的な取り組みや社内の仕組みづくりが重要です。したがって企業理念選定時はPDCAを回し、改善を繰り返しながら長期的に取り組みましょう。
また、PDCAを回し長期的に取り組んでいくことで、少しずつですが理念が浸透していくケースも多いです。一方で、短期間で焦って施策を実施をしても、十分に浸透できず、効果のない活動に終わってしまう恐れもあります。したがって、企業理念の浸透には、最初からある程度の長期的な期限を設定して活動するのがおすすめです。
インナーブランディングについてご検討される方へ
インナーブランディングを実施して、企業理念の浸透を成功させることができれば、企業にとって大きなプラスになることは間違いありません。しかし、自分たちだけでインバーブランディングをしていくことはかなり困難な作業です。
そして、インナーブランディングの施作は自社で行うことも可能ですが、難しい部分はインナーブランディングに強い企業に相談してみるのもおすすめです。 コンサルが得意、イベントに強いなど、企業ごとに強みがあるので、課題やステージに合わせて相談先を選定すると良いでしょう。 シースリーフィルムは、テレビCM制作を核として培ってきたアイデアやクリエイティブの力を応用し、インナーブランディングを目的とした映像やデジタル施作などにも取り組んでいます。
社員へのコミュニケーションに映像を用いることで、エンゲージメントを高める効果が期待できます。 シースリーフィルムでは課題整理からコンテンツ制作までワンストップでサポートしますので、ぜひご相談ください。