インナーブランディングのもたらす効果は、どれほど認知されているのでしょうか?
DX化が推進されている現代・来たるべきDX時代において、インナーブランディングの重要性はますます大きくなっていくはずです。
この記事ではDX時代とインナーブランディングの関連性について解説します。
- インナーブランディングとは、そしてDXとは何なのか
- インナーブランディングはどのような効果をもたらすのか
- なぜDX時代にインナーブランディングが必要なのか
上記の内容を1つずつ紐解いていきますので、ぜひご自身の会社の組織作りにお役立てください。
インナーブランディングを知る
インナーブランディングとは、自社の社員に向けて自社のブランド価値や魅力を発信し・浸透させていくことを指します。
インナーブランディングを浸透させることによって、社員にMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)がより深く根付き、望ましい行動を自発的にとれるようになるのです。
社員にMVVが浸透することで、自社への帰属意識や愛社心が芽生えることが期待できます。それらは仕事に対する誇りとなり、仕事の質を上げ、社外に向けて自社の魅力を発信するようになるでしょう。
つまり、社員に向けてのブランディング施策を投じることが、結果的に社外に対してのブランディングにも繋がるのです。
インナーブランディングは貴重な経営資源になる
ブランディングは、自社の商品やサービス、企業そのものの価値をブランドとして確立させることを目的としています。そして、ブランディングによって確立されたブランドは、ヒト・モノ・カネ・情報に次ぐ5番目の経営資源といわれているのです。
ブランドとは、自社の商品やサービスの魅力や価値を他社のものとは明確に区別化して認知してもらうための一連の要素のことです。
ブランドが確立しているからこそ「牛丼といえば〇〇」「〇〇社といえばあのロゴマーク」というように、人にイメージさせることができます。
通常社外向けにおこなうブランディングも、インナーブランディングによって社内の社員に対してもブランドが確立されます。
- 自社のブランドが、仕事への誇り・やりがいとなる
- 自社のMVVが社員に浸透することで、社員間にも意思の疎通ができ、部署間の主体的な連携行動を促す
社員のこのような意識・行動の変化は、結果的に会社の業績に数字として結びついてくるでしょう。
社外のみならず、社内に対してもブランディング施策を投じることが、企業にとって貴重な経営資源になるのです。
DX時代に向けてのインナーブランディングの重要性
DX化が推進されている現代では、ますますインナーブランディングの機運が高まっています。
デジタル技術の発達・普及により、新しい商品やサービス、そして新しい売り方が今後どんどん出てくるでしょう。同じ市場で戦う競合との争いがますます激しくなり、今はまだ知りえない新しい競合が表れることも考えられます。
そのような時代に、ブランドが確立されていることはその企業の強さとなります。
ブランドは消費者からその商品やサービス・その企業が選ばれる理由になり、社内に対しては社員の誇り、団結力となるのです。
社員間に確立された自社のブランドは、例えるなら太い樹木の幹のようなものです。どんな嵐が吹き荒れても、予想外のアクシデントに見舞われても、事業の根幹をぶらさずにビジネスを進められるでしょう。
根幹がしっかり確立されていれば、時代の変化にも柔軟に対応でき、自社のブランドを確立したまま時代に順応していけるはずです。
DX時代に向けての企業としての強さを育むためにも、インナーブランディングが必要なのです。
「2025年の崖」とは?DXとは?
DXとは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略です。
直訳すると「デジタルの変革」となります。進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにすると同時に、既存の価値観や常識を根底から覆すような革新的なイノベーションをもたらすことを指します。
DX化が進むにつれて問題視されているのが「2025年の崖」です。
このままテクノロジーが進み続けると、2025年前後を境に既存のITシステムなどが意味をなさないほど時代から置いてきぼりを喰らうことになることが予想されています。
その変化に対応できない企業は、崖を落ちるように競争力が低下するといわれているのです。
DX化が急がれる理由
DXは、既存の価値観や常識を根底から覆すような革新的なイノベーションをもたらします。しかし、そのイノベーションに対応できない企業に待ち受けているのが「2025年の崖」です。2025年までにDX化への対応が遅れてしまうと、日本経済は2030年までに最大12兆円の損失を被ると試算されています。
また、他にも以下の3つの理由からDX化が急がれています。
- DX化は業務効率や生産性を向上させる効果があるため
- 消費者の行動変化に対応するため
- DX化に対応できない企業は、変化し続ける市場の中で埋もれてしまうため
DX化を推進し、組織全体の業務効率や生産性を向上させることで働き方改革の実現にも繋がります。
また、テクノロジーの進化は消費者の行動変化・そして市場の変化に直結します。
それらの変化に対応できない企業は消費者から選ばれず、市場の中で優位性を確保できずに埋もれてしまうでしょう。
各企業が時代の流れの中で生き抜くためにも、ひいては日本経済のためにも、DX化が急がれているのです。
DX化とIT化は全く別物
DX化とIT化は混同されがちな言葉ですが、本質的な意味合いが違います。
また、その違いを明確に理解しておくことが、これからの時代にビジネスを進めていくにあたって非常に大切です。
IT化とは、デジタル技術を導入することによって、業務を効率化させることを「目的」としています。
DX化は商品やサービスなどのビジネスモデル自体の改革を「目的」とし、業務を効率化させることはそのための「手段」なのです。
例えば、飲食店が調理ロボットを導入して生産性を上げることができたとします。それだけならIT化に過ぎません。調理ロボットの導入によって新たな可能性が広がり、新しい商品や画期的なビジネスモデルを生み出すことがDX化なのです。
コロナ禍がDX化の波を大きくした
経済産業省から「2025年の崖」が提唱され、DX化の重要性・早急性が注目を集めたのは2018年のことです。
しかし、誰もが予期していなかった2020年以降の新型コロナウイルスの流行によって、DX化は大きく進んだといわれています。
新型コロナウイルスの流行によって、世界中の企業でテレワークが急速に普及しました。
また、多くの企業が業績が急降下していく中で、生き残りをかけてさまざまな手法を投じて業務の効率化を測ったはずです。
それらの相乗効果によって、マイクロソフトのティア・ナデラCEOは「2か月で2年分のDXがみられた」と発言しています。
DX推進のハードルは現場との意識のギャップ
DX推進を企業の幹部が進めようとしても、現場側はその重要性を理解しておらず、幹部と現場の意識のギャップがDX化を阻むハードルとなってしまうことが、多くの企業の現状としてあります。
特に勤続年数の長いベテラン社員は、変化を嫌い、疎外する傾向が少なからず見受けられます。
- ツールやシステムに合わせて業務プロセス自体を変更することが理解できない
- 新しいツールやシステムを導入するまでの手間を受け入れられない
ベテラン社員の前提として「今のままで困っていない」「新しいことをやる余裕がない」という認識があるでしょう。
DX化を進めることでどんな未来が待っているのか、またDX化が自社のMVVの実現にどう繋がっていくのかを明示してあげる必要があるといえるでしょう。
今こそインナーブランディングの効果を知るとき
インナーブランディングを進めることは、企業内でDX化を推進させることに直結するはずです。
インナーブランディングを進めることで自社のMVVに対する理解が深まります。
理解が自社を愛する気持ちを生み、愛する気持ちが自社にとって有益な変化を受け入れる基盤になるのです。
インナーブランディングで得られる効果
インナーブランディングをおこなうことで、社員の意識や行動に以下の変化が生まれます。
- 仕事への誇りが生まれ、モチベーションに繋がる
- 社員間の意思の疎通がスムーズになり、連帯感が向上する
- MVVを体現を目指し、主体的な行動をとれるようになる
また、上記の意識や行動の変化は、そのまま社員の定着率の向上にも繋がるでしょう。
インナーブランディングが全ての社員に浸透することで、DX化の目的や必要性を受け入れる土壌が出来上がります。自社の商品やサービス、ひいてはそれを生み出すプロセスに変化を加える必要性が理解され、DX化の推進がスムーズに進むでしょう。
インナーブランディングの成功は、DX化の理解・推進、そしてDX化の成功へと繋がります。
インナーブランディングの注意点
インナーブランディングの注意点として、以下の3点をよく理解しておいてください。
- 中長期間継続することで効果が生まれる
- 費用対効果を実感しずらい
- 社員間で価値観のズレが生じる可能性がある
インナーブランディングは、一朝一夕に効果が表れるものではありません。
社員に浸透するまでには時間がかかり、インナーブランディングを継続するには時間・費用・人員などのコストがかかります。
しかし、何度も何度も繰り返しおこなうことで次第に効果があらわれ、やがて大きな成果へと結びつくはずです。
また、社員間で価値観の相違が生じる可能性があることも懸念されます。特に、従来の仕事の進め方や仕事との距離感に居心地のよさを感じているベテラン社員は、新たな取り組みに反発したり、自分の価値観やスタンスを否定されたような気分になったりするかもしれません。
社員の価値観を置き去りにしてしまい、意識のズレがあるままではDX化の推進もスムーズには進みません。既存社員とは、価値観の擦り合わせをしながらインナーブランディングを進めていく必要があるのです。
インナーブランディングとDX化の両方に有効な方法
インナーブランディングを進めながら、DX化も同時に図れる方法があります。
それがWeb社内報と動画です。
インナーブランディングが浸透するまでのフローとして、以下のステップがあります。
知る→理解する→共感する→行動する |
Web社内報は、その利便性の高さから情報伝達ツールとして最適です。
そして動画は情報量の多さから理解・共感のきっかけとなります。
Web社内報や動画を用いたインナーブランディングのポイントについて解説していきます。
社員の抵抗感の根源を知る
インナーブランディングやDX化を進めていくためには、前述した「社員間の価値観の相違」の原因をつきとめ、改善していくことが必要になります。
つまり、既存社員の抵抗感の根源を知ることが大切なのです。
社員が変化に抵抗する理由は人それぞれあるかもしれませんが、総称すると「変革が必要な理由を理解していないこと・変化することに恐れや不安があること」になります。
- 今のままでも不自由していない
- 変化を取り入れるメリットがわからない
- 変化を受け入れることにデメリットを想像している
これらの社員の抵抗感の根源を知り、1つひとつ解決していくことが、インナーブランディングの浸透に必要不可欠なのです。
伝えること受け取ることに長けた社内報
社内報といえば従来は紙媒体が主流でしたが、現在はWeb版で社内報を発行する企業も増えています。もしくは、紙・Webそれぞれの特性を活かすべく、2つの媒体で社内報を発行している企業もあります。
Web社内報の最大のメリットは、発信者側・受け取り手側の双方向のコミュニケーションがとれることです。
発信者側は紙媒体よりもスピード感を持って最新の情報を発信できるので、会社の「今」を全従業員に対して発信できます。
また、受け取り手側は「いいね!」やコメントなどで発信者に反応を返すことで、一方的に受け取るだけではない、参加型のコミュニケーションが可能になります。
双方向のコミュニケーションができるWeb社内報は、テレワークの普及によってコミュニケーションが希薄化したことを懸念する企業においても、非常に重要なコミュニケーションツールとなっているのです。
分かりやすく伝えることに特化した動画マニュアル
DXとインナーブランディングを同時に進める1つの手法として、動画媒体を用いたマニュアルを作成するという手法があります。
画像は文字の7倍、動画は文字の5,000倍の情報量があるといわれており、作業の手順などを周知することを目的としたマニュアルに効果的です。
「百聞は一見に如かず」という言葉もあるとおり、視覚・聴覚・文字情報を同時に伝えられる動画は、短時間で必要な情報を伝えられる媒体です。
また、一度動画でマニュアルを作成してしまえば、常に同じ人が同じ教え方で教えることになるので「教える人によって質が変わる」という問題点をクリアでき、業務の質を均一化することにも繋がります。
動画はデータで保管できるので、紙媒体でのマニュアルに比べて保管や増刷の手間も省けます。
分かりやすく伝えることに特化した動画マニュアルは、社員の業務の質を均一にしながら、コストもカットしてくれるのです。
インナーブランディングに動画を活用する効果
インナーブランディングに動画を活用することには、以下のメリットがあります。
- 思いや熱量を込められ、それらが社員に伝わりやすい
- テキストコンテンツよりも、受け取り手側の障壁が低い
- 1つの動画で何度でも、何人でも視聴できる
動画に経営者が出演する場合には視線や顔色、声の強弱などの空気感や人間味までもパッケージできます。文字よりも伝えたいことをすんなりと受け手に伝えられるのです。
最後に、動画を活用した企業の成功事例と、動画作成の注意点を解説します。
動画活用の成功事例|西武鉄道
西武鉄道はインナーブランディングの一環として、社員や代表の熱い思いをインタビューにまとめ、動画にしてYouTubeに公開しています。
視聴した社員は自分と同じ会社・同じ立場で働いている社員の熱い思いや、代表が示す企業の未来像に胸を打たれ、自社への愛社心や理解が高まるのです。
また、動画を通して伝えられたメッセージは、視聴した社員の行動変革へと繋がっています。動画でメッセージを発している社員と同様に、「あれも、これも、かなう。西武鉄道」というコーポレートメッセージを体現するような行動を自発的にとるようになるのです。
まさに、インナーブランディング・DX化推進の成功事例といえるでしょう。
動画作成は妥協しない方が大きな効果が望める
動画の内容やクオリティーによって視聴者への印象や、残るメッセージが大いに左右されます。数分程度の短い動画であっても、企画・制作には時間が数日、長ければ数ヶ月時間がかかります。質の高い動画を作成するには、それ相応の知識や技術が必要となり、それらを習得するには勉強が必要です。企業の社員が、通常業務をこなしながら、動画の勉強や制作を行うことは、現実的ではないかもしれません。
質の高い動画の作成を目指すなら、外部の専門業者へ依頼し、お任せすることも視野に入れた方がいいでしょう。
専門業者には動画制作に関わるそれぞれの工程のスペシャリストが在籍しています。社員は自社の業務に専念しながら、プロならではの発想や技術をもって、質の高い動画を作成できるのです。
インナーブランディングを検討される方へ
コンサルが得意、イベントに強いなど、企業ごとに強みがあるので、課題やステージに合わせて相談先を選定すると良いでしょう。
シースリーフィルムは、テレビCM制作を核として培ってきたアイデアやクリエイティブの力を応用し、インナーブランディングを目的とした映像やデジタル施作などにも取り組んでいます。社員へのコミュニケーションに映像を用いることで、エンゲージメントを高める効果が期待できます。課題整理からコンテンツ制作までワンストップでサポートいたしますので、ぜひご相談ください。